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主語は?2017/12/03

 先日、日本語の授業でこんなことがありました。
三択の練習問題で
・傘を(持って、持たないで、持ちながら)出かけたので、濡れてしまいました。
というもの。

 しばらく考えて生徒のTさんから出てきた答えは「持って」 
私が違うよ、というと次は「持ちながら」と言ってきました。
 
 決して文章を理解していないわけではありません。
「Tさんは傘を持っていません。外を歩いている時に雨が降ってきました。Tさん濡れますよね?」
と言うと、彼は「雨が降って傘をさしたら傘が濡れます。」

 そんな意味の問題文はありえないのですが、そう解釈したのか…
「濡れる」の主語は傘ではなくあなたです、ということを説明したら「意味を間違っていました」とわかってくれました。

 主語が省略できる日本語ならではの勘違いですが、慣れないと外国人にとっては難しいのかもしれません。

 内容は違いますが、先週の新聞に「中高生 読解力ピンチ」という記事がありました。要旨を引用します。

 最近、主語と述語の「係り受け」など、文章の基本的な構造を理解できていない中高生が多くいると見られる。

 25,000人の中高生を対象にした調査で
「幕府は、1639年、ポルトガル人を追放し、大名には沿岸の警備を命じた」と
「1639年、ポルトガル人は追放され、幕府は大名から沿岸の警備を命じられた」
この2文は同じ意味かどうかを尋ねたところ、「同じ」と誤答した中学生が約43%、高校生が約28%いた。

 もう一例。
「仏教は東南アジア、東アジアに、キリスト教はヨーロッパ、南北アメリカ、オセアニアに、イスラム教は北アフリカ、西アジア、中央アジア、東南アジアにおもに広がっている」を読んで、オセアニアに広がっている宗教を「キリスト教」と答えられなかった中学生は約38%、高校生は約28%だった。

 以上が記事の内容だったのですが、こんな調査結果を見ると、今や日本人の方こそ読解力が怪しくなってきているのだな、と思いました。やはり文字離れが原因なのでしょうか?

 ただ、二つ目の宗教の例文は一読ではわかりにくいです。こんなダラダラ長文、会社の報告書などに書いたら「わかりにくい、書き直し」の一言ですよ。

 これは教科書から引用した文章と書いてありましたが、教科書執筆者の方ももう少しわかりやすく書く工夫がほしかったな、と違うことも考えてしまいました。
 ばってんT村でした。
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