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言葉の話題あれこれ2022/04/24

 最近、目にした言葉に関わるニュースで印象深かったものをいくつか取り上げてみました。

 まずアメリカ野球のメジャーリーグ。昨年、年間最優秀選手など複数の賞を獲得して大活躍の大谷翔平選手ですが、ある試合の実況放送で解説者の発言が批判を浴びた事件がありました。

 実況アナウンサーに「オオタニに対してはどう投げたらいいでしょうか?」と問われた解説者が、非常に慎重にという意味で、ベリー・ベリー・ケアフル(Very very careful)と答えました。
これをわざとアジア人特有の発音をまねて言ったのです。これが「アジア人をバカにしている」とSNS上で炎上しました。
 もちろん、件の解説者は謝罪しました。

 大谷選手が日本人であることから、日本人の話す英語を真似たものと思います。YouTubeでこの場面の動画を見ると、確かにわざとたどたどしい発音で「Very very careful」と言っていました。

 解説者はジョークのつもりで言ったのでしょうが、まったく迂闊です。今、アメリカで性や人種をネタにした差別的ととられる言動は間違いなく叩かれます。

 ご存じのように日本人はRとLの発音の区別が苦手で、VとBの区別も怪しいものです。
思い出すと学生時代、英語の授業でやらされました。カセットテープ(の時代)で英単語を聞いて、Right とLight どちらでしょう?というような問題。

 大谷選手がらみでもう一つ、別のコメンテーターが「英語が話せないで通訳を付けなければならないような選手がメジャーリーグを代表する顔と言うのはいかがなものか?」
という意味の発言をしました。
 もちろん、この人もその後に謝罪に追い込まれています。

 外国語を発音するとどうしても自分の母語の癖やなまりが出ます。英語を母国語にする国々ですら違いが見られます。
ご存じの方もいると思いますが、オーストラリアでは、例えばdayをデイではなく、ダイと発音します。aの発音がアあるいはアイとなるんですね。

 昔、「クロコダイルダンディー」という映画があり日本でもヒットしました。主人公はオーストラリア人の設定で実際ポール・ホーガンという主役俳優はオーストラリア人。
劇中、あいさつにグッダイ(Good day)って連発していました。


 同様にTodayはトゥデイではなくトゥダイと発音されます。
これをネタにしたジョークもあって、I go to the hospital today.(私は今日、病院に行きます)が、I go to the hospital to die.(私は死ぬために病院に行きます)と聞こえる。

 ひと昔前なら笑っておわりのこんなジョークでも、今だと同じようにバッシングを受けるかもしれませんね。

 次は某週刊誌で読んだ記事です。
 NHKのニュースで、ウクライナから日本に避難してきた女性にインタビューしている映像が流れました。ウクライナ女性が話した内容が画面下に日本語字幕で「今は大変だけど平和になるように祈っている」と表示されました。

 これを観ていたロシア・ウクライナに詳しい青山学院大学のある教授が違和感を持ちます。
実はこの部分を直訳すると「私たちの勝利を願います。勝利を。ウクライナに栄光あれ」と言っていると指摘したのです。
 「NHKの訳は意訳でもなく、意図的な改変ではないか」と感じたとのことです。
 
 映画の字幕では字数制限などがあり意訳されることはよくありますが、上記は確かに意味が大きく違っています。

 後日、このNHKの字幕問題についてネットで続報が出ていました。
指摘を受けたその5日後にNHKは見逃し配信で「いまは大変ですが勝利を希望しています。ウクライナに栄光を」という字幕に変えたとのこと。

 ほぼ原語に沿った翻訳に直りました。番組制作者の「意図」で故意に言葉の「意味」を変えてはいけませんよね。

 このように外国語がわからないと(だから通訳を介するのですが)、正確に訳されているのかどうか確認しようがありません。

 私自身、数年前にこんな経験をしました。
中国のお客さんの工場にトラブル調査に出張した時のことです。通訳で陳さんという年配の中国人に同行してもらいました。
 何回も依頼していたので、日本語が達者であることもよく知っていました。

 さっそく客先の担当責任者に「問題の原因を調査したいので機械を止めてほしい」と陳さんを通じて依頼しました。
 これを聞いた担当責任者と陳さんが何か話してやり取りしています。最後に担当責任者は了解したらしいのですが、中国語に明るくない私には何をやりとりしたのかわかりません。

 後で「陳さん、何を話していたの?」と聞きました。
陳さんは「生産が忙しいからすぐ止められないと最初断ってきたので、我が社と御社の今後のよい関係のためにも協力しないとだめです、と言いました。」
「彼は若くて仕事のことがよくわかっていません。だから説教したのです」

 これを聞いて、「せっ、説教?そんなことしていいの?」と言うと「問題ありません」と返ってきました。
 こちらが頼んでもいないことを勝手に(いや自発的に)付け足して仲介してくれたことに(でも相手はお客さんだよ・・・)と複雑な思いでした。
ばってんT村でした。

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