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日本語が理解できない若者2020/03/29

日本語が理解できない若者が増えているということを最近よく見聞きします。手書きしなくなったから漢字が書けない、誤変換が多い、というレベルではないらしい。

 

 ネットの投稿記事からの抜粋、要約ですが、中学・高校・大学で若者に接している先生や会社で若い社員といっしょに仕事をしている人たちの体験談が書かれてあり、内容を読むと相当深刻だと思いました。

 

相手(若者)に理解してもらえなかった事例として

910分前に集合」が通じなかったので850分と言い直した。

「この仕事は骨が折れる」を文字通りに受け取られた。

「現状にあぐらをかく」の意味が分からずキョトンとされた。

「読みづらいから改行して」と言ったら、「カイギョウって何ですか?」と言われた。

「お手やわらかにお願いしますよ」と言うと「どうしたら柔らかくなるのですか?」と聞き返された。

 

ある大学で「often」の意味を調べさせたところ、英和辞典に載っていた「しばしば」「頻繁に」の意味が理解できなかった。

そこで「よく~する、という意味だ」と教えたら「よく」を「良く(good)」と解釈された。

 

これらの事例を見ても、英語を早い時期から教えようとすることより日本語の理解力を上げることが先にやることだ、ということがよくわかります。

でも、oftenって中学で習う英単語のはずで意味を知らない大学生がいるというのも何だかな・・・、と思いました。

 

さらに読解力についての調査結果もあります(これは以前一度紹介したかもしれません)

 

問1

仏教は東南アジア、東アジアに、キリスト教はヨーロッパ、南北アメリカ、オセアニアに、イスラム教は北アフリカ、西アジア、中央アジア、東南アジアにおもに広がっている。

 

この文脈において、以下の文中の空欄にあてはまる最も適当なものを選択肢のうちから1つ選びなさい。

オセアニアに広がっているのは、(  )である。

  • ①ヒンドゥー教
  • ②キリスト教
  • ③イスラム教
  • ④仏教

 

正解は②ですが、この問題の正答率は中学生が62%、高校生が72%。

しかも、この問題に解答した745人の高校生が通っているのは進学率ほぼ100%の進学校だという。

 

問2

Alexは男性にも女性にも使われる名前で、女性の名Alexandraの愛称であるが、男性の名Alexanderの愛称でもある。

 

この文脈において、以下の文中の空欄にあてはまる最も適当なものを選択肢のうちから1つ選びなさい。

Alexandraの愛称は(  )である。

  • Alex
  • Alexander
  • ③男性
  • ④女性

 

正解は①ですが、正答率は中学生38%、高校生が65%だった。選択肢④を選ぶ誤答が多かったという。

 

 この記事を書いた女性は小学校4年生から中1までアメリカで暮らし、その間日本語の教育を受けていなかったので、学生時代は日本語の語彙力が非常に乏しかった。そして、高校の現代国語のテストで長文問題を何度読んでも理解できなかった、それが非常にショックだったと言っています。

 

社会人になって職業柄、関連する本を理解できるまで何度も何度も徹底的に読み、論文を読みあさって語彙力を増やしてきた、コラムや本を書けているのはこの経験があったからだとも言っています。

 

やはり読解力や語彙力を増やすには、活字を読むこと、これに尽きるということですね。でも現代人は老若問わず活字を読まなくなってきていると思います。

 

語彙力が乏しいのは若者だけとは限りません。私自身の経験です。

ある飲み会の時、アルコールがダメな私は周りに向かって「私、実は下戸なんですよ」と言ったところ、数人から「ゲコってなんですか?」と聞かれたことがあります。そのときは下戸、上戸はもう死語なのか、と思いました。

 

一方こんなこともありました。

年末休暇で実家に帰る特急電車内のことですが、私の座席の通路を隔てた向こう側に4人連れの家族が乗ってきました。30半ばくらいの夫婦とその子供でしょう、小学生くらいの2人の男の子でした。

 

 しばらくしてこの二人が鞄から取り出したのはスマホでもゲーム機でもなく、本でした。そして静かに読書を始めたのです。

 オオ、これは珍しい光景だな、と思って見ていました。多分ご両親も読書好きなのでしょう。時々、本の内容について楽しそうに親子でおしゃべりしているのです。

将来、この子供さん二人は日本語の理解には問題のない青年に育つことでしょう。

 

 さて、話を先ほどの2つの例題に戻して。

実はこの2問を日本語能力試験の読解の練習問題のつもりでやってみてと言って、私が教えている生徒DさんとTさんにやってもらいました。2人ともN3は合格しています。「愛称」の意味を知らなかったのでそれは事前に説明しました。

 

結果、Dさんは2問とも正解し、Tさんは2問とも間違えました。後で聞くと、正解したDさんの方は文章の意味をしっかり理解していました。

 

不正解だったTさんに、どこがわからなかったのかを聞くと、1問目の「何々は~に、何々は~に、何々は~に」の連続している文の切れ目がわからない、と言っていました。

「広がっている」という動詞が3つの「~に」のすべてにかかっていることも理解できていないようでした。

問2は、④女性と誤答しました。あとで説明すると、「あ~」と合点がいったように言っていたので、問題文の意味を正確に理解していないようでした。

 

案外、日本の中高生も同じ理由で間違えているのではないでしょうか。「愛称」の意味がわからない学生もいたかもしれませんね。

 

おもしろいのは2問とも正解したDさんは紙の辞書(日-インドネシア語辞典)をいつも持ってきていて、授業中、わからない日本語は辞書で調べています。

 

今やほとんどの人がスマホを辞書替わりに使っているようですが、画面を指先でスライドするよりも、紙の辞書のページを同じ指先でパラパラとめくった方が手間がかかる分、記憶に残りそうな気がします。

…とは言え自分自身も、もうページをめくり単語を探すなど面倒くさいことはやりたくなく、スマホやパソコンの便利さに流されています。

 

でも、時にはスマホの代わりに本を片手におもしろい小説でも読みましょう。

ばってんT村でした。

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