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心の友2020/11/21

 最近、見聞きした日本語にまつわる小ネタを集めてみました。

 

1. 心の友

偶然、テレビ番組で観ました。インドネシアで多くの国民に知られている有名な日本の歌があるのです。第二の国歌とも言われて、世代を越えて歌い継がれているそうです。

 

代表曲「恋人よ」で有名な五輪真弓さんですが、彼女の「心の友」という歌です。

日本ではあまりヒットしなかったので、たぶんファン以外この歌を知っている人はほとんどいないと思います。私も知りませんでした。

 

1982年の曲、「あなたから苦しみを奪えたその時・・・」から始まって、サビの部分が「愛はいつもララバイ、旅に疲れた時、ただ心の友と私を呼んで」

 

当時、五輪真弓さんのコンサートでこの曲を聴いて感銘を受けたインドネシア人がレコードを買って帰国しました。それをインドネシアでラジオから流したところ、全国で爆発的にヒットしたことがきっかけとのことです。

日本語なので歌詞の意味はたぶんわからないでしょうから、メロディーラインがインドネシア人の心の琴線に触れたのでしょう。

 

Youtubeの動画を見ていると、インドネシアの人は日本語の歌詞そのままで歌っています。私のインドネシア人生徒のDさんも知っていました。意外なところでインドネシアとの接点があったのですね。

 

ちなみに、五輪真弓がアメリカでデビューアルバムをレコーディング中、その歌唱力を気に入ったキャロル・キングが自ら希望しアルバム制作に参加したといいます。

70年代のアメリカンポップスを聴いていた人ならキャロル・キングは知っているかな)

 

2. 件(くだん)

「けん」と言う読みで使うことが圧倒的に多いですが、「くだん」とも読みます。

「前に述べたこと」とか「例の」という意味ですね。

この「くだん」、にんべんに牛と書きますが、その形のまま頭が人、体が牛の妖怪でもあるのです。疫病や災害を予言する妖怪で江戸時代発祥と言われています。

 

今年、コロナ禍で一躍有名になった妖怪アマビエと類似ですね。ただ、容姿はどちらかというとおどろおどろしく愛嬌という面では今一つかな。

興味がある人はネットで画像を検索してみてください。

 

3.語順

 教室でN2の試験勉強をやっていた時、語順を問う次のような問題がありました。実際に試験にも出る形式で、☆に入るのは選択肢のどれか、という問題です。

 

あの先生は _____    _____  _____ わすれない

 

1 一方で  2 ことも  3 きびしくしかる  4 ほめる

 

語順は 3 きびしくしかる 1 一方で 4 ほめる 2 ことも

(あるいは4 1 3 2)

で正解は1となります。

 

でも生徒のTさんは2と答えました。語順を聞くと、

3 きびしくしかる 2 ことも 4 ほめる 1 一方で

 

あの先生はきびしくしかることもほめる一方でわすれない。


おっと、文法上は間違いないですよ。きびしくしかる、を強調したい時はこんな表現になるでしょう。

 

答えがひとつのマークシート採点でははねられますが、人間が採点していたら少なくとも×にはならないのではないでしょうか?

 問題を作る側、採点する側も難しい、ということを感じさせる問いでした。

 入試問題を専門業者に丸投げしたり、筆記試験の採点をアルバイトにやらせる大学もあるそうで。アルバイトの採用にまず試験が必要ですね。

 

4. 挫折

今、「絶対に挫折しない日本史」というタイトルの本を読んでいるのですが、出版前このタイトルについて編集部内で一波乱あったらしい、という裏話が某週刊誌に書いてありました。

 

「挫折」という漢字が難しすぎて、タイトルを読めずに購入を挫折するのではないか。ルビを振る、ザセツとカタカナにするなどいくつも案が出たけれど結局漢字のタイトルに落ち着いた、というお話。

 

書けと言われるとちょっと怪しいけれど、さすがに読めるでしょう。

 

5.とても

これは新聞記事に書かれていたのものです。

「とてもきれい」「とてもすてき」など、とてもが「すごく」の意味で使われるようになったのはこの100年ほどだと言われています。

それまでは「とても~ない」と否定を強める表現だけで使うものでした。

 芥川龍之介の1923年頃の随筆に「とても安い、という言い回しが東京の言葉になり出したのは数年以前のことである」と。


以上が記事の冒頭なのですが、最初からこの用法で使っている我々には全然違和感はありませんよね。

今、過渡期なのは「全然~」がこれに相当するでしょうか。


「全然問題ない」と言うように本来否定形で使う表現が、いつの間にか「全然だいじょうぶです」のように肯定表現で使う人が少なくありません。

個人的にはこの肯定表現の「全然~」には違和感を覚えますが、そのうち当たり前になってくるのでしょうか。


…と言うようなことを書いていて、待てよ、とちょっとネットで調べてみました。するとどうも有名な文豪も昔から使っていたようです。言葉の変化は難しい。

 

話かわって、絶対定着してほしくないのは「むずい」「はずい」。最初、テレビのバラエティ番組で聞いたとき意味がわかりませんでした。

「難しい」「恥ずかしい」の略ですが「ら」抜き言葉ならぬ「かし」抜き言葉、略しすぎて意味不明で日本語として美しくない。

せめて芸能界の業界用語だけにとどめてほしいものです。・・・と思っていたら、最近会社で若い人がこのムズイを使うのを聞いたんですよ。テレビやSNSの影響恐るべしです。

 

今や、日本語を学ぶ外国人の方が正しい用法で話しているのかもしれません。ばってんT村でした。

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