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思い出のタクシードライバー2021/04/25

前回のブログではインドでチャーターしたタクシーのことを書きましたが、他の国でも印象深いタクシードライバーと遭遇したことがあります。そのお話です。


・カンボジアで2日貸し切り

 ずいぶん昔で19年前のこと、盆休みを利用してアンコールワットを観にいきました。アンコールワットはカンボジアのシェムリアップという地方にあります。


到着したシェムリアップ空港でホテルに行くためタクシーに乗りました。ドライバーを見ると若い男性です。


 車中、彼が英語で「アンコールワット観光ですか?」と話しかけてきます。そして私が日本人だと知るとこんな提案をしてきました。

 「私の妹はガイドで日本語も話せます。私が車の運転、妹がガイドで同行して観光案内できますがいかがですか?」


 願ってもない事でした。アンコールワットはあの有名な寺院だけでなく、その他にも複数の遺跡が広範囲に点在しています。車で移動できたら便利です。

高額だったら断ろうと思っていましたが、それほど高くなかったのでOKして2日貸切ることにしました。


記念に残していたアンコール遺跡群入場パスの3日券。これで3日間、遺跡群の出入り自由、当時40ドルだった。


 1日目はひとりでじっくりアンコールワットのみ見学。翌日朝から車で来てもらって他の遺跡も巡ってもらいました。

 ただ、妹さんの日本語は簡単な日常会話には不自由しなかったのですが、遺跡の歴史など細かい説明ができるほどのレベルではありませんでした。

 今の尺度で言うとN3レベルというところでしょうか。


「明日はアンコールワットに日の出を見に行きましょう」と提案してくれて2日目は夜明け前にホテルに迎えに来てくれました。

残念ながら雲が多くて朝焼けは見られなかったのですが、3人で共にした2日間は楽しいものでした。

ちなみに小高い山に夕日の絶景ポイントもあり、そこにも連れて行ってくれて、夕日は拝めました。


・バンコクの隻腕ドライバー

タイのバンコクのタクシーは料金が安いこともあり、仕事でも観光でもよく利用しました。


バンコク滞在中のとある夕方、別のホテルに泊まっている知人に会うため、通りでタクシーを拾い乗り込みました。運転手は気さくな感じの中年男性でした。

乗った後に気づいて驚いたのですが、運転手にはなんと右腕がなかったのです。


タクシーはマニュアル車(日本と同じ右ハンドル)だったので、左手でギアシフトを操作する間、一瞬手放し運転になります。大丈夫かよ、と少し不安になりました。ハンドルには片手で握るためのグリップが取り付けてあります。


しかし運転を見ていると、瞬時にシフトチェンジし手放し運転になることを微塵も感じさせません。F1かラリードライバー並みの素早いシフト操作と巧みなハンドルさばきに感動すら覚えました。

 あとで右腕がない理由を聞くと、バイクに乗っていて交通事故に遭い失ったとのこと。


しばらく走ると夕方のラッシュ時のためか渋滞にはまりました。すると、メーターをやめて定額にしてくれないか、とその料金額を言ってきました。


これ、バンコクのタクシーだと時々やられます。渋滞でかせぎが悪くなりそうだとなると、メーターを使わず高い定額料金を要求してくるのです。

そら来た、と思った私はきっぱりと「ダメ、メーターで行って」と言いました。彼は渋々「わかった」と言いそれ以降要求することはありませんでした。


 外国人観光客を乗せる機会が多いので英語は少し話せると彼が言い、車中では英語とタイ語のチャンポンで雑談していました。

そのうち「日本語を教えてくれないか。日本人も乗ってくるので憶えたいんだ」と言います。そこであいさつやお礼など簡単な一言日本語をいくつか教えたのです。


そして渋滞や信号で停止中、「いつもメモを取って覚えているんだ」と器用に片手でメモ帳を取り出してきて、教えた日本語の発音を反復し書き留めるのです。これにも感心しました。


そんな最中に彼の携帯電話が鳴りました。通話中の会話はタイ語で意味はわかりませんが、漏れ聞こえてきたのは女性の声です。


通話が終わった後、「奥さんか?」と聞くと「そう。今日は早く帰ってきて。いっしょに晩御飯を食べよう、と言ってきた。あなたをホテルで降ろしたら今日は仕事は終わりだ」と照れた表情で言います。


渋滞で時間はかかったけれどやっとホテルに到着。メーターの示した料金に多めのチップを足して「チップは奥さんの分ね」と言って手渡しました。

彼は受け取りながら「ありがとう。これで何か買って帰るよ」と笑顔で応えました。


しかし私が降車したその直後、ホテルから出てきた欧米人カップルが入れ替わるように彼のタクシーに乗り込んだのです。

私は「残念、もうひと仕事だね」と一人ごとを言って、タクシーを後にしました。


記憶に残る一期一会の出会い。ばってんT村でした。


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