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発酵食文化2021/05/12

 日本は発酵食品が多い国ではないでしょうか。それも珍味や嗜好品だけでなく、味噌、醤油、漬物、納豆など日常食になっている点が特徴だと思います。

 あまりなじみがないと思いますが、魚を発酵させて作ったものとして魚醤があります。日本にはハタハタなどが原料のしょっつる、ベトナムにはヌクマム、タイにはナンプラーがあり、どちらもイワシが原料です。
 中国、フィリピン、ラオスにも似たような魚醤があるそうです。

 このように魚醤はアジア特有の発酵食品と思っていたのですが、実はイタリアにもあるのです。これは意外でした。
 ヌクマムやナンプラーと同じくイワシを使っていて、コラトゥーラ・ディ・アリーチ(Colatura di alici)と言います。
alitiはイワシの意味のイタリア語です。
 どんなんかな~と興味があり、アマゾンで試しに一番小さな瓶詰めを購入。

  コラトゥーラ・ディ・アリーチ、イタリアだと魚醤の瓶までデザインするのか

 コルクの栓を開けると地中海の潮の香りが・・・(するわけないか)
 ヌクマムやナンプラーと同じ魚醤特有の匂いと味。若干酸味も感じられましたが、イワシの種類や発酵時間などによるものかも知れません(推測)

 イタリアではどうやって食べているのかとネットで調べてみると、やはりというかパスタソースに使っていました。レシピを見るとオリーブオイル2:コラトゥーラ1の割合で混ぜ、香り付けにちょっとニンニクを入れるだけのシンプルなもの。
 
 さっそく作って食べてみました。オリーブオイルの風味にコラトゥーラの塩味が効いています。
 コラトゥーラを生産しているイアリア南部特有のパスタメニューで、イタリア全土どこにでもあるポピュラーなものではないようです。だから知られていないのでしょう。

ちなみにコラトゥーラの代わりに味がほぼ同じヌクマムかナンプラーで十分代用できそうです。東南アジア系のほうが安くつくし。

 さて、インドネシアには大豆を発酵させたテンペがあるので魚醤の類もあるのではと思い、インドネシアの生徒2人に聞いてみましたが、ないそうです。
 でも発酵させた小エビを唐辛子に混ぜた「サンバル」というピリカラ香辛料があります。

 石山のインドネシア料理店リンドゥバリで料理に付いて出されて、それがおいしかったので、後日瓶詰めを買いました。手作りで唐辛子は滋賀県産を使っているそうです。

 単純に辛いだけでなく、発酵させたエビが入っているせいか、うま味みたいなものが感じられます。サラダに付けたり、野菜のディップソースに使ったりしました。

 まったく話は変わってチョコレート。これも意外ですが、実は発酵食品の一種です。
 チョコレートの原料になっているカカオ豆は生の状態から発酵させて使われているのです。
 このことはカカオの収穫からチョコレートの完成品になるまでの過程を描いたドキュメンタリービデオで知りました。

  カカオ豆って、さやに入った豆のごとく、殻を割ると中に豆がゴロゴロ入っているものと想像していたのですが、そうではなく、白い果肉があってその中の種がカカオ豆なのです。

 カカオを割ると白い果肉が。その中にカカオ豆

 カカオは果物の一種だそうで、そう言われれば果実があってその中に種があるのは自然ですね。う~ん、知らなかった。

 白い果肉を大量に集めて適切な湿度、温度の下に置くと微生物(ある種の菌)が果肉を侵食しカカオの豆だけになります。その後、さらにカカオ豆を発酵させて熟成させるのです。
 ここでカカオの品質が決まるとのこと。

 カカオの収穫からチョコレートができるまで、ほとんどが手作業なのですから高級チョコレートの価格が高いのも納得がいきます。
 
 興味のある方は、アマゾンプライムビデオで「The Taste of Nature  世界一おいしいチョコレートができるまで」を検索、観てみてください。
 これを見た後、チョコレートを噛みしめると南米やアフリカのカカオ産地に思いが飛ぶことでしょう。

 このように食を通じて、他国の食文化を知ったり親しみを感じるのもいいものだなと思います。ばってんT村でした。

デジタル教科書2021/05/29

 週刊新潮におもしろい特集記事が載っていたので、そこから一部内容を引用しました。
「デジタル教科書が子供の学力を破壊する」というタイトル。

下記は過去に行われた、大学1年生を対象に実施された論理的思考力を試す問題です。
正答率は64.5%だった、とのことです。
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次の報告から、(1)~(3)で確実に正しいと言えることには〇を、そうでないものには×を記入してください。

公園に子どもたちが集まっています。男の子も女の子もいます。
よく観察すると、帽子をかぶっていない子どもは、みんな女の子です。
そして、スニーカーを履いている男の子は一人もいません。

(1)男の子はみんな帽子をかぶっている。
(2)帽子をかぶっている女の子はいない。
(3)帽子をかぶっていて、しかもスニーカーをはいている子どもは一人もいない。

興味のある方はやってみてください。回答はこのブログの最後に書いています。
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 さて、この記事の要旨は
「全国の小中学校では2年前から教科書のデジタル化が始まり、3年後には紙の教科書をすべてデジタル化することも含め本格的に導入することが検討されているが、デジタル化による学習効果はない」
と言うもの。
 デジタル教材を使った教育をICT(情報通信技術)教育と言いますが、コストに見合う学習効果はない、という実例が記事の中に書かれています。

 一例として。
 佐賀県のデジタル化の整備状況は94.6%、最下位は秋田県の18.5%。ところが全国学力テストの県別ランキングで秋田県は1位、佐賀県は43位だった。

 また、お隣の韓国ではICT教育は成績レベルが高い大都市の児童にはほとんど効果は見られなかった。ただ成績下位者、あるいは地方に住む児童には効果があった、というもの。

 つまり、ICT教育は生徒の興味を引く効果はあっても学習効果としては表れず、効果があっても成績下位層に限られる、と結論づけています。

ICT教育ではなぜ学習効果が出ないのか、記事はこう続いています。
要約すると、
 デジタル教材では視覚情報量が多すぎて、情報量が少ない紙を読む場合に比べて深く考えることが難しくなる。
 人間の思考は、与えられた情報を頭の中で短期記憶として並べ、それを処理している。
この短期記憶をワーキングメモリーと言うが、情報量が多いとすぐ使い切ってしまい、思考を巡らす余裕がなくなってしまう。

 子供に見せるなら動画より画像、画像より絵の方がワーキングメモリーの消費量が少なくて好ましい。
 例えば、授業の要点をノートに書いて後で見返す方が、授業を録画して後で見直すより主体的に考えることができる。
 さらに、ノートを取ること自体が授業への集中力を高め、要点を頭の中で整理することにつながる。

 リンクのたくさん付いた文章とリンクのない文章を被験者に読ませ、記憶の正確さや理解度を比較した実験をしたところ、リンクのない文章を読んだ時の方がどちらも高かった、という結果が出たそうです。

情報量は多いほどよいと思っていましたが、学習については逆なんですね。

 やはり紙の上を指でなぞって文章を読みページをめくる、紙やホワイトボードに筆記具で文字や絵を書く(描く)、これがいいんですね。
 眼だけで文字を追うより、指でなぞりながらの方が記憶に残る、というのは実験でも確認されているそうです。
やっぱりバーチャル(仮想)よりリアルだ。

ばってんT村でした。

・設問の回答
(1)〇
(2)×
(3)×

さらっと一読しただけだと「帽子をかぶっていない子どもは、みんな女の子」の解釈を間違えそうです。
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