イサーンの旅2 ― 2019/04/13
前回の続きです。
別の年に同じイサーン地方のナコン・ラーチャシーマー(通称名コラート)というところに行きました。コラートはイサーン地方最大の都市で、人口ではバンコクの次に多いのです(位置は前回の地図を見てください)
バンコクからバスで4時間ほどで到着します。位置的にもイサーン地方の入口と言えるところです。
到着後、まず予約したホテルを探したのですが、地図上では近くに来ているはずなのに見つかりません。同じ通りを何回も行ったり来たりしたのですが、看板が見当たらないのです。
もう聞くのが早いと思って、近くの商店にいたおじさんにホテルの名前を言ってどこにあるか聞きました。
すると「ついて来なさい」という素振りで、わざわざホテルまで連れて行ってくれたのです。
こちらの下手なタイ語を聞いて、言っても通じないだろうと思われたのかもしれません。ここでも親切な人に当たりました。
ホテルは市内中心部にあり、歩いてすぐのところの広場に銅像があり大勢の人がお祈りをしています。
この像の女性はタオ・スラナリーと呼ばれ、200年ほど前に隣国(現在のラオス)が攻め込んできた時、奇襲でラオス軍を撃退した英雄だそうです。
タイのジャンヌ・ダルクと言われています。
また、そのすぐ近くに小さな舞台があり、数人の男女が民族衣装を着て踊りの練習をしています。タイの音楽に合わせゆったりした動きで、練習を見ているだけで雰囲気を味わうことができました。
さて、コラートからバスで1時間ほどのところにピマーイ遺跡があります。翌日はそこへ行くことにしました。
翌朝、遺跡方向へ行くバスに乗り込み、遺跡の最寄りで数人のタイ人に混じってバスを降りたのですが、欧米系の若い女性も一人降りてきました。
遺跡の方へ歩いていると同じ方向だったので「ピマーイを見に来たのですか?」と話しかけるとそのとおりでした。
10世紀ごろ、現在のタイの国土はクメール王朝(現在のカンボジア)に占領されていました。従ってその当時造られたこの遺跡もアンコール遺跡とおなじ様式なのです。
そういえばアンコールワットと形がよく似ています。
いっしょに遺跡や博物館を見学したのですが、道々聞いた話や休憩中に聞いた話から、彼女は東南アジアを旅行中のスイス人でした。
多分と思い「何ヶ国語話せるのですか?」と聞いてみると「母語はドイツ語。他に英語、フランス語が話せます。スペイン語とイタリア語も少し話せます」
やはりマルチリンガル。
「だからヨーロッパを旅する時に言葉で困ったことはないけど、アジアに来たら英語が通じなくて困ります」と言っていました。
昼時になったので、いっしょにごはんを食べましょうとなったのですが「私、ベジタリアンなのです」と言ってきました。
シーフードもダメと言われ(エッ… 肉抜き、シーフード抜きのタイ料理なんてあったか?)と内心何にするか迷いました。
そこで「ではいままでタイで何を食べていたの?」と聞くと「主にフライドライスを注文して肉抜きにしてと言っています。これを英語で言ってもなかなか通じなくて」と。
外国人も入るレストランではなく地元の人が行くような普通の食堂に行く、と言っていたので、そりゃいっそう英語は通じにくいよね、と思いました。
フライドライスとはタイ料理で言うカオパット(いわゆるチャーハン。具に野菜や豚、エビ、カニなどが選べる)のことです。つまり彼女がいつも食べていたのは具が野菜のみのチャーハンなのですね。
結局、彼女には肉抜きのカオパットと唐辛子・エビ抜きのソムタム(パパイヤを使ったサラダ)を注文してあげました。食の好みや考えは人それぞれですが、旅の楽しみがひとつ減るようでなんかもったいないな、と思いました。
さて、ピマーイ遺跡からコラートへの帰りも当然バスなのですが、停留所や目印らしきものが見当たりません。
実はこれ、地方へ行くとありがちなのです。
ローカルバスだと、決まった停留所以外でも道中に待っている人を見かけると停車してピックアップします。
降りる時も同様。降りたい人は自宅に近いところで降ろしてもらっているのでしょう。
これはもう聞くしかない、と近くのお店のおばちゃんに聞くと、これまた親切にも連れていってくれました。
そして「ここで待っていればバスが止まるから」というような意味のことを身振りを交えて言ってくれました。
このようにウボン・ラーチャターニーやコラートで二度三度と親切な行為に接すると、助かってありがたい、という思いと同時に、日本で逆の立場になったら来日者には親切に接してあげようという気持ちに自然となります。
どの国も同じで地方へ行くほどやさしさが感じられます。これも旅の効用でしょうか。
ばってんT村でした。
350語で話せる? ― 2019/04/26
英語は少なくとも中学・高校時代に勉強してきたわけですが、勉強や仕事を離れてプライベートになれば目的や目標は個人個人でさまざまだと思います。
英語とは無縁でけっこうという人は除き、海外旅行で困らないレベル、外国人と日常会話ができるレベル、英文でメールやり取りができるレベル、英語でスピーチができるレベル、英語の小説を原書で読めるレベルなどさまざまあると思います。
私の場合は、昔から英語の歌詞や映画のセリフが訳詞や字幕なしで理解できたらいいな、というのが願望でした。未だそのような域には達していませんが…
タイトルに引かれこんな本を買ってみました。
アメリカドラマに出てくる単語はたったの350語なのか?
にわかに信じ難くひととおり読んでみましたが、なるほどと思わせる内容でした。
1,200~1,500 中学校で憶える単語数
3,000
大学受験に必要な単語数
5,000~7,000 難関大学受験に必要な単語数
10,000 TOEIC860点に必要な単語数
と言われています。
つまり、中学で憶えた単語数があればほとんどの英会話はわかる、話せると著者は言っているわけです。
著者はごく普通の日本人でして、仕事で2年間アメリカに滞在していて自身の英語のわからなさを痛感したそうです。
まず説得力があるのは、実際にアメリカの連続ドラマ94話トータル45時間に出てくる単語をすべて数えた結果であるということです。
調べた結果、出てきた単語数は12,088個。なんだ、やっぱりTOEIC860点の実力がなければだめじゃないの…となります。
でもさらに著者は調べていき、1回しか出てこない単語が5,188、2回しか出てこない単語が1,974。というように出てくる頻度の低い単語を差し引くと、セリフの80%は350語の単語でできていた、と言うのです。
8割わかれば上出来ではないか、と私も思いました。
さらに著者は調べていき1,896個の単語でセリフの92%ができていたとのことで、これだと中学で憶えた単語数プラスアルファあればほぼ会話はカバーできることになるのです。
念のため、著者は別のドラマでも同じ調査を行い、350語でやはり全セリフの約80%がカバーできていることを検証しています。
頻出単語の1位から5位はI you is
the a こんな単語も含めての350語です。
人称代名詞や指示代名詞、前置詞、疑問詞が上位を占めます。
主語が省略できない英語ならではですね。
これらのデータを基に、リスニング力・スピーキング力を身につける方法がこの本には書かれています。
さて、この350語のうち教科書で習わない単語にgonnaとgotttaがあります。
gonnaはgoing to の口語形、gottaはhave toの口語形ですが、確かに映画でもよく聞きます。
私には「アイガラゴー」としか聞こえないですが、字幕には「行かなきゃ」と表示されます。
I gotta goと言っているんですね。
音声を耳で聞いて日本語字幕を目で同時に追っていると「こういう言い方をするのか」と勉強になることがあります。
著書の中にリスニングについて様々な勉強法が書かれていますが、確かにと思ったのは、リスニングは「語彙・文法力」×「音を聴きとる力」×「瞬間理解力」という掛け算になっている、というところです。
足し算ではないのでどれか一つが欠けても、言っていることはわからないということなのです。
まず一番目の「語彙・文法力」については、個々の単語は知っていてもそれらを組み合わせた熟語の意味がわかるか、が大きなポイントだと思います。
例えば、keep in touchというフレーズ。Keepもinも touchももちろん知っています。でもこれらをくっつけたらどんな意味になるのか?
これ、映画でも時々聞きます。友達同士がおしゃべりしていて別れ際に「keep in touch」と言うような場面です。「またね」とか「連絡ちょうだいね」という意味です。
次に「音を聴きとる力」ですが、ネイティブの情け容赦ない速さの英語(と我々は感じるが、相手はナチュラルスピードでしゃべっている)を聴きとる練習が必要と言っています。
英会話学校などでティーチャートークのレベルに慣れてしまっていると、いざ本場で英語を聞くと簡単なことですら聴きとれません。
私も経験があります。
若いころ、初めて出張でアメリカへ行った時、たかだかレストランやハンバーガーショップ(マクドではなく細かく注文ができる店)で最初の頃は店員の言っていることが理解できなかったのです。速~い、と感じました。
言っていることは「肉の焼き方はどうするのか?」「付け合わせは何にするのか?」「ドレッシングは何にするか?」程度のことです。
これは3つ目の「瞬間理解力」もなかったからだと思います。
個人的意見ですが、この瞬間理解力には想像力あるいは予想も必要だと思います。この場面でこんな単語を言ってきたら、こんな意味じゃないなかな、というような。
英語ではありませんが、数年前タイのバンコクでこんな経験をしました。
コンビニで買い物をしレジで精算していた時、店員が何かタイ語で言ってきたのです。当然、豪速球のナチュラルスピードで何を言っているかわかりませんでした。
(まぁ、ゆっくり言ってもらってもわからないと思いますが)
ただ、言ってきたタイ語の中に「サイ」という知った単語の発音だけがわかったので、数秒後に「ああ、それを聞いているのか」と理解(じゃなくて推測)できました。
「サイ」は入れる、という意味なので、多分「商品を袋に入れますか?」と言う意味のことを聞いてきたに違いないのです。買ったものがガムのような小さな物2点ほどだったからです。
…でも、たった一語だけで判断するのはヤマ勘が過ぎるでしょうかね。
これは会社の同僚から聞いた昔話ですが、彼がアメリカへ駐在員で数年滞在することになった時のこと。
渡航してすぐに役所みたいなところに呼ばれ、その市に住むにあたり、いろいろ質問を受けたそうです。
Yes or Noで答える質問が続き、内容からしてYesで答えればよい質問ばかりだったので、まだ慣れない英語を聞くのにも疲れてきた彼は、そのうちろくに内容も理解せず、Yes、Yesと相槌を打つみたいに答えていたそうです。
するとある質問に「Yes」と答えた時、質問者とその近くの数人が驚いたような表情になり「ちょっと詳しく事情を聞かせてください」といって別室に連れていかれそうになったとのこと。
質問の内容は「あなたはこれまでドラッグの使用や売買で逮捕されたことがありますか?」というものだったのです。
やはり、生活するレベルになると相手の言っていることを理解できないと困る場面も出てくるようですね。
Amazonでもこの本が販売されていますが、ネット上の購入ページで表示されている表紙をクリックすればプレビューで数十ページ読めます。
買わずとも一度試し読みしてみてください。興味深くておもしろいですよ。
ばってんT村でした。
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