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勘違いのことば達2022/06/05

 前回ブログの冒頭、本屋さんの店員が「手帳」と「店長」を聞き間違えた話をしましたが、外に出ると図らずも面白い目に合うことがあります。

 私はよい意味で、犬も歩けば棒に当たる、と勝手に解釈しています。


 初めて読む人もいらっしゃると思いますので、以前ブログで書いた同じ話もあって恐縮ですが改めて私の経験を。

 言葉に関することなので、チョット参考になるかもです。


●コピーをください

 若い頃は、仕事の出張で頻繁に韓国に行っていました。

単独で電車やバス、タクシーで移動したり、街中の食堂でご飯を食べたりする機会も多かったので、最低限必要な韓国語を事前に勉強したり、現地で憶えたりしていました。


 1980~90年代、日本に追いつけ、追い越せで韓国では日本語の勉強熱が高かった時代です。

 それもあってか、仕事先では一定の職級以上の人は日本語が問題なく話せたので業務上の会話は日本語でした。


 ある顧客の会社で打ち合わせをやっていた時のことです。使っていた資料のコピーが必要になり、近くにいた女性社員(日本語は話せない)に自分の手元の資料を指さして「コピーチュセヨ」とお願いしました。


韓国語でチュセヨ、とは「ください」の意味です。


 女性は「ネ~(はいの意味)」と言ってそのまま部屋から出ていきました。

 しばらくすると、その女性は紙コップに入ったコーヒーを持ってきて、私の前に置いたのです。

 コピーを頼んで、なぜコーヒーが出てきたのか私はわけがわかりませんでした。


 これを見て、打ち合わせに同席していた人が笑いながら「T村さん、coffeeは韓国語でコピと言います」

「では複写する意味のコピーはどう言うんですか?」と聞くと「それはカピと発音します」


 日本語と同様、韓国語では外来語をそのまま使うことが多いのですが、韓国語特有の発音になります。

 例えばスポーツのゴルフは韓国語ではコルプと発音します。これなど、さらにわかりにくいと思いますね。


●グラスをください

 これはフランスに出張した時のことです。

フランス語が堪能な日本人の商社員を含め数人でレストランに入りました。


 飲み物を含めた注文後、ガラスコップが一つ足りないことに気づき、ウェイターに「One glass please」と英語で言いました。

 しばらくしてウェイターが持ってきてテーブルに置いたのは、アイスペールに入った氷だったのです。氷をつかむトングも付いていました。


 氷は注文していないけど、と不思議に思っていると商社員の方が笑いながら

「あ~、たぶん英語のglassを誤解したのだと思います。フランス語でグラスと言うとアイスクリームや氷を意味します」

 あとで調べてみると、言われるようにフランス語にglaceという単語がありました。


●ホテルの名前はアルベルゴ

 これははじめてイタリアに出張した時のことです。

現地の商社員の方にミラノの空港でピックアップしてもらい、郊外の小さな町のホテルにチェックインしました。

 翌日、顧客先で仕事の終了後、相手をしてくれた人が「車でホテルまで送っていきますよ。ホテルはどこですか?」と聞かれました。

会話は英語です。


 ホテルの表の看板に「ALBERGO」と書いてあったのを覚えていたので「アルベルゴに泊まっています」と答えました。


  これ、しっかり記憶していたんですが



 すると「OK、それでホテルの名前は?」と再度聞いてきます。

私が困惑していると、彼がわかった、というような表情で「ホテルをイタリア語でアルベルゴと言うのですよ。」


 日本語で言えば、単に「旅館」とだけ書いた看板がかかった宿みたいなものなのでしょう。

 私が泊まったこの「アルベルゴ」は食堂もあって、夕飯時になると主人が部屋のドアをノックして知らせてくれるような小さな宿でした。


 ドアを開けると、「マンジャーレ」(イタリア語で「食べる」の意味)と言って私に向かってジェスチャーで食べるしぐさで準備ができたことを教えてくれるのでした。


●ちょっと待って

 アメリカの顧客先工場で日本人の現地駐在員と一緒に行った時のこと。

顧客と打ち合わせをやっている最中、要所要所でこの駐在員と二人で日本語だけで話すことがありました。

 相手に返事する前に見解を合わせておく時や聞かれたくない内容の時です。


 すると後から「チョットマッテ、はどういう意味ですか?」と聞かれたのです。我々の会話の中から聞き取ったみたいです。

 この「チョットマッテ」、拗音と促音が入る日本語、発音的にアメリカ人にも印象に残ったのでしょう。


 確かに会話でちょくちょく使うと思います「調べるからちょっと待って」とか「ちょっと待って、考えさせて」とか。


 意味を教えた後は、一緒に作業などしている最中、そのような場面が来たら嬉しそうに「チョットマッテ」と日本語で言ってくるのでした。


 日本に来る外国人観光客だと、「アリガトウ」の次によく聞く日本語は「イラッシャイマセ」ではないでしょうか?


 これはどこで聞かれたかは忘れたのですが、「エートはどういう意味ですか?」という質問もありました。

 うん、確かにしゃべっている合間に挟むな。「えっ~と、それはね・・・」、当時は説明できませんでした。


「え~」とか「あの~」はFiller(フィラー)と呼ばれる発話の合間に挟む、それ自体意味を持たない言葉です。

 内容を発話前に頭の中で思い出したり、整理したり、また相手にこちらが考え中だということを認識してもらうためにも有効なものです。


 多用すると聞き苦しくなるのでなるべく使うなとも言われますが、これやらないと発話の途中で沈黙ができます。

 特に顔が見えない電話の時はなにかあったのか?と思われたりします。


コミュニケーション、おもしろくもあり悩ましくもあり、ですね。

ばってんT村でした。


あこがれの小堀2022/06/18

 外国に関心を持ったり、その国の言葉を勉強するようになった動機は人それぞれにあると思います。
 もう10年も前のブログに書いた内容ですが、ちょっと加筆し改めて紹介します(え~、正直に言うとネタを考えるのがけっこうたいへんなので、時々この思い出路線を活用したいと思います・・・)

 昔、タイ語に興味を持ち、週一で語学教室に通って勉強していた時期がありました。タイ語の先生をしている人達は、日本人と結婚したタイ人や日本に留学している大学生など多様でした。
 私のクラスの先生は大阪外国語大学に留学中のタイ人女性、このW先生に日本に留学して日本語を勉強しようと思ったきっかけを聞いたことがあります。

 こんな内容でした。
その昔、タイで「メナムの残照」(タイ語原題はクーカム)という小説が大ヒットしました。
 内容は、第二次大戦中にバンコクに駐留していた若き日本海軍大尉とタイ人女性との悲恋を描いた物語です。タイではこれまでにテレビドラマや映画で何度もリメイクされていて、一時は大ブームになったとのこと。

 「メナムの残照」というのは日本語翻訳後の小説のタイトルですが、メナムとは「川」を意味するタイ語で、メ―(母)とナーム(水)の合体語。タイにはチャオプラヤー川という本土を貫く大河が流れています。

     映画化された最新版は2013年、クーカムは「運命の相手」と言うような意味


 男の名前はコボリ(漢字では「小堀」)といい、男らしく誠実で女性にはやさしい軍人として描かれています。要するに凛々しい日本男児のイメージなのでしょう。
 この小説を読んだ若かりし頃のW先生はコボリのような男性がいる日本にあこがれを持つようになり、高校時代に交換留学先に日本を選択して応募しました。

 晴れて選考試験に合格し日本の高校に通うことになりましたが、日本の生活に慣れた頃、W先生にわかったのは「今の日本にはコボリみたいな男らしい人はいない~」でした。

 もちろんコボリはいなくてもW先生が日本を好きなことには変わりなく、熱心に日本語や日本文化を勉強して日本の大学まで出たのです。
 W先生は大学卒業後タイへ帰国し、この「メナムの残照」を書いた小説家の出身大学で日本語を教えています。

 習った肝心のタイ語はかなり忘れましたが、少しでも話せたり聞き取れたりすると現地で役立ちますし、現地の人とのコミュニケーションも片言ながらできたりします。

 「△△をください」「○○はありますか?」「お勧めの料理は何ですか?」「辛くしないで」など、食に関した会話は真っ先に覚えました。なにせ旅の楽しみに関わることですからね。

 現在だと有名人といえば芸能人やアニメの登場人物だったりするかもしれませんが、「メナムの残照」が流行していた当時タイで一番有名な日本人は「コボリ」だったと言われています。

 一方、私はタイで今も昔も一番有名な日本人は「アライ」さんではないかと勝手に思っています。まぁ、正確に言えば、日本人名に聞こえる、日常よく使われるタイ語という意味なのですが・・・。

 タイ語で発音する「アライ」は日本語で「なに」という意味、英語で言えばWhatです。
「名前は何ですか?」「仕事は何していますか?」とか、先ほど出した「お勧めの料理は何ですか?」、出てきた料理の素材が知りたいときは「これ何ですか?」とか。
 相手の言ったことが聞き取れなかったりした時も「アライ ナ?」と聞き返します。日本語でも「えっ、なに?」って言いますよね。

皆さんが海外に興味を持ったきっかけは何でしょうか? ばってんT村でした。
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