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言葉の国イラン2019/09/29

8月のブログで書いた「アラビアンナイト」の舞台の一国でもあるイランですが、この国に関するおもしろそうな新刊の紹介が新聞に載っていたので、さっそく買いに・・・

と言いたいところですが、2,700円という価格を見てう~ん、これは図書館だな、と予約して貸本で読みました。

 

著者の岡田恵美子さんは、1932年生まれと書かれていたので今年87歳になるお方です。

60年前、イラン・イラク発掘品の展示会で偶然見たペルシア文字を見て、これが読めるようになりたいという好奇心で国内でしばらく勉強されたのち、4年間のイラン留学をされた人です。

 

まだ日本の大学にペルシア語学科もなく、イランとの間に留学制度もなかった時代です。なんと著者は当時のイラン国王に手紙を書き許可をもらって留学することができたとのこと。

 


 著書の前半は半世紀以上前にペルシア語に魅せられたきっかけや留学生時代のことが語られています。一方、後半は一気に現代に戻ってイラン人の性格や考え方、習慣などについて書かれています。

 

今、政治、外交面で何かと問題を抱えるイランですが、この地域は歴史でも習ったあのメソポタミア文明発祥の地でもあります。

 

イランのようなイスラム圏の美徳は寛容・勇気・雄弁(言葉遣い)の3つと言われているそうです。本のサブタイトルにもある「世界一お喋り上手な人たち」とあるのも3つ目の「雄弁」にかけてあるのです。

 

おしゃべりにも

・人の悪口や人の嫌がることを言わない

・その場にいる誰もが参加できる話題を提供する

・その場にいない人の批判はしない

・聴き手の身になって言葉を選ぶ

などのルールがあるそうです。

 たかがおしゃべりとは言え結構なスキルや気遣いが必要なのですね。

 

古典文学や詩から引用されることわざ、教訓や箴言(しんげん、この本に書いてあったが読めなかった。いましめや格言の意味)も豊富で複数紹介されています。

 

 例えば

「生木は意のままにたわめられる」

「他人の果樹園で客をもてなす」

「風がもたらしたものは風が持ち去る」

「水は水路を戻らず」

これらは日本のことわざで類似するものが想像できます。最初のものは「鉄は熱いうちに打て」ですね。

 

 逆にイスラム特有のものも。

「家に二人の主婦あれば埃は膝まで」 4人まで妻をめとることができるイスラムならでは。

「時には鞍の背に、時には鞍を背に」

「メロンの皮でも侮るな」

解説は本を読んでくださいね。

 

 話は変わりますが、もう10年ほど前にベトナムに行った時のことです。ハノイからハロン湾に行く現地ツアーのバス車内で東京から来た日本人青年と知り合いました。

 

 彼は若い外国人女性といっしょだったのですが、その女性はイラン人で青年が通っている英会話スクールの先生でした。

 

 3人で雑談中、いざイランのことを話題にしようと思っても何も知らず、唯一知っていた「その昔、イスファハンは世界の半分と言われたほど繁栄を誇った」

ということだけでした(イスファハンはその昔イランの首都だったところ)

 そのことを言うと「よくご存知ですね。イランはいいところですよ。ぜひ来てください」と言われたことを憶えています。

 

 さてここからはイランとはまったく関係ない話になるのですが、青年と二人だけで雑談していた時、彼がこのイラン人女性に好意を持っていると私に言ってきたのです。

 いっしょに旅行に来るくらいだからすでに相思相愛かと思ったらそうでもなかったらしい。

 

「彼女が帰国する前に何とかして告白したいのですがどうしたらいいですか?」と相談を受け、おれに聞くか?と思いましたが、「時間がないようならストレートにつきあってください、と言ったらどうかな」と答えました。

 

 帰国後、彼から「僕の英語ではうまく口で言えないので手紙を書くことにしました」というメールが来ました。そうか、ラブレレターにしたか、なかなかやるな、とこの時は思っていました。

 

 そして数日後。来たメールに「だめです、振られました」と書いてあったのです。

状況を電話で聞いてみると「自分が真剣であることを示すため最後にケッパンを押しました」と言ってきました。

 

 「ケッパン?」と聞き直すと「はい、決意が嘘でないことを証明するため、自分の指を切って捺印する血判ですよ。日本の昔からある慣習だと説明しても彼女は激怒して『血がついた手紙を出すなんて気持ち悪い』と言われてしまいました。」と。

 

 これを聞いて絶句… 君は侍か? 今時、日本人同士でもやらないぞ、それもラブレターに。せめて朱肉で拇印にしとけばよかったのに。

強烈な印象だったのでこのエピソードは今でもよく覚えています。

 

話を戻して、著者は本の中で「語学の習得に必要なものは動機、意欲、根気の三つ。齢は関係ない」ということを言っています。

いくつになっても勉強ですね。合わせて文化の違いもよく勉強しましょう。

ばってんT村でした。

 

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