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イタリアはおいしい ― 2024/05/27
ご存じ(かな?)、大ヒットしたコミック「テルマエ・ロマエ」(古代ローマ時代の浴場設計技師が現代日本にタイムスリップし日本の風呂文化に接する姿を描いたマンガ)
の作者であるヤマザキマリさん。
肩書は漫画家、随筆家、画家となっていますが、イタリア人と結婚され今はイタリア在住です。これまでにエジプト、シリア、ポルトガル、アメリカを経て現在はイタリアと日本を拠点を置かれています。
ヤマザキマリさんの最新のエッセイ本が出たので読んでみました。5年ほど前に「パスタぎらい」という食に関するエッセイを出されましたが、この「貧乏ピッツァ」も同じく世界各国の食に関するエッセイで興味を引く内容、たいへんおもしろい。

まず冒頭で、フィレンツェでの貧乏留学生時代に死ぬほど食べたパスタやピザを今はもう食べたいとはあまり思わない、トラウマでしょうかと書いています。
本書の「素晴らしき日本の食文化」という章の、エピソードを一つ、二つ紹介します。
イタリアの夫の実家で「日本の食事をしてみたい」という姑のために素麺をゆでた時の話。
日本料理のスキルもなく、とりあえず日本から持ってきた素麺を使った。
茹でている素麺を見て姑が「日本にもカペッリーニがあるのね」と言った。
カペッリーニとは細いパスタのこと。髪の毛を意味する「capelli(カペッリ)」が名前の由来。
ゆでた素麺をザルに入れて水で冷やすと、再び姑が「だめよ、パスタを水で洗ったりしちゃ!」
と。
できた素麺をテーブル上に盛り、「見てください、素麺はこうやって食べるんですよ」と
箸ですくった麺をつゆにつけてズズズと啜り上げて見せた。
それを見た家族全員、予想通り表情が固まった。
「そんな食べ方はできない」と姑ら家族はフォークに巻き付けた素麺をつゆにつけて食べるのであった。
食べるや「味がしない。茹でるときに塩を入れ忘れているよ」と指摘される。
そこで日本の料理方法や素材そのものを味わう、というような説明をした。すると舅が
「さすが。日本では味覚にも禅のスピリットを稼働させているわけだ」と深く感心するのです。
しかし、素麺は不評で「日本の麺には味がない」と結論づけられてしまった。
という内容。
もう一つは
二十年ほど前、イタリアの親戚と友人で構成される十一人のオバちゃんグループを引率して日本旅行をしたとき、彼女たちが一番興奮したのは、いわば食の博覧会場であるかのようなデパ地下の食品売り場だった。
帰国後もデパ地下の思い出話で盛り上がり、名所巡りよりまたデパ地下へ行ってみたい、と好評だったのだ。
もちろん、イタリア料理の話も出てきます。
本書内のこのイラストは生ハムメロンですが、イタリアはメロンの消費量が世界の十指に入るほど多いらしい。

それもデザートではなく、ハムなどの加工肉といっしょに食材として食べるのです。
カットしたメロンの上に生ハムをのせた生ハムメロンは前菜として食されます。
日本ではメロンは高級デザートというイメージで普段食べるものではありませんが、イタリアではスーパーで一玉3ユーロ程度で売ってあるとのこと。
過去に出張やプライベートで何度かイタリアへ行ったことがありますが、私もこのメロンの甘さと生ハムのしょっぱさの混じった味わいが大好きで、よく注文していました。
フィレンツェのレストランにて。生ハムがメロンを覆いつくしている

この生ハムメロン以外に私個人で思い出に残っているイタリアでの食体験がいくつかあります。
初めてイタリアへ行ったのは30年ほど前、仕事の出張で単独行でした。
現地で予約してもらったミラノ郊外の小さな街に宿泊しましたが、ホテルは家族で経営している小さな宿で朝食、夕食がついていたのです。
夕食時になると、ホテルの主人が部屋をノックしてきます。
ドアを開けると、「マンジャーレ」(食べるの意味)と言って右手指先を口に持っていく仕草で食事ができたことを知らせに来るのです。
メニューみたいなものはなく、おまかせのその日の料理が出てくるというスタイルでした。
料理の内容はもう忘れましたが、この時、食べ物を口にもっていくジェスチャーは万国共通なんだな、と思いました。
このホテルから仕事先の工場へ通ったのですが、お昼は工場内のカフェテリアで食べました。複数の飲み物が置いてある中にワインの小瓶があり、ワインを取っている人もいます。
「ワイン飲んでもいいんですか?」と同行の人に聞くと「仕事にさしつかえなければOKさ」という返事でした。
なんとおおらかな、と当時思ったものです。
イタリアにはbar(バール)という軽食も取れるコーヒーショップがいたるところにあります。
バールはイタリア人の食習慣に根付いたカフェ文化と言えるもので、このためスターバックスのような外国のコーヒーチェーン店が進出する余地はこれまでありませんでした。
(その後、2018年にやっとイタリアへ初上陸したらしいですが)
私も旅行中、バールへはよく立ち寄りました。もっぱらカウンターでエスプレッソを立ち飲みというパターン。
エスプレッソ1杯がだいたい1ユーロ(100円ちょっと)ほどでしたが、同じ店で飲む場所によって料金が違うのです。カウンター立ち飲みが一番安く、次に店内のテーブル席、店の外のテラス席の順で高くなっていきます。
ベネチアのサンマルコ広場にはフローリアンというヨーロッパ最古のカフェがあります。
ガイドブックに必ず載っているくらい超有名で私も一度行ってみました。
サンマルコ広場

フローリアンでは数名で構成されるオーケストラが店先で生演奏をしているのです。
それをBGMに屋外席で広場を眺めながらコーヒーを飲む、という至福のひとときが味わえます。
タダではない生演奏

しかし、お勘定の時に現実に引き戻されることになります。
レシートを見て知るのですが、コーヒー代金の他に音楽チャージ代なるものが請求されていたのです。BGMはタダではなかった…
日本円で合計2,000円近くしたと思いますが、いい思い出です。
ベネチアと並んで名だたる観光地のフィレンツェですが、観光地ゆえレストラン、特に夜は高いのでできるだけ切り詰めました。
ホテルのフロントで「近くに安いレストランはないですか?」と臆面もなく聞くと「レオナルドと言う、セルフサービスのカフェテリアがあるよ」と言って場所を教えてくれたのです。
行ってみると、店の入り口に数か国語で書かれたメニューが貼ってあります。もちろん日本語もありました。
店内で食べたいものをトレイに取って会計しテーブルに着きます。パスタがちょうど茹であがったところだったのでこれを選択。
写真で合計11ユーロ、当時のレートで1,200円くらいでしょうか。
ブルスケッタ、サラダ、パスタ、ミネラルウォーター

ナポリと言えば、ナポリピッツァが有名ですよね。
地図を頼りに超有名なピッツェリアへ行ってみたら、行った時期が夏のバカンスシーズンだったためか休暇中。
ガックリしながらも開いている他のレストランでピザを注文したのですが、それでも十分おいしかったです。
日本に目を向けると、最近は日本のピザのレベルも高く、イタリアと比べても遜色ないと思うのです。前述したヤマザキマリさんのイタリア人夫も来日すると、「日本のピザはおいしい」と言って足しげくピッツェリアへ行く、と書いてあったので間違いないでしょう。
2024年3月の一か月で訪日外国人数は300万人だったとのこと。日本の食文化の体験を目当てに来る観光客も多く、食べる楽しみは万国共通であることを感じます。
逆に、円安と合わせ、諸外国の物価高騰で日本からの海外旅行は高嶺の花となってしまいました。昔が懐かしい~。
ばってんT村でした。
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