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落語の中の言葉遊び2024/09/18

 以前のブログで日本語は言葉遊びが豊富な言語ではないかという内容を書きました。
私、落語を聴きに(観に)行ったりするのですが、落語の中にもことば遊びが出てくるものがあります。
 一番多いのは同音異義語を使ったものではないでしょうか。

噺家さんは本題の落語の前に「枕話」と言って客を引き付ける簡単な小話やおもしろい体験談などを喋ります。
以前聞いて、印象に残ったのはこんな内容でした。

 お日さんとお月さんと雷さんがいっしょに旅に出ました。
宿に泊まり、翌朝、雷さんが目を覚ますと、お日さんとお月さんの姿が見えません。

 宿の女将にどこにいるのかと聞くと
「お日さんとお月さんは朝早くにおたちになりましたよ」との返事。
雷さん
「そうか、やはり月日がたつのは早いものだな」

そして宿の女将が「雷さまはいつたたれますか?」と聞くと
雷さん
「そうだな、夕だちにでもするか」

以上

言わずもがな、旅立つ、月日が経つ、夕立ちの三つをかけたものですね。

言葉遊びをネタにした落語の中から一、二例挙げましょう。

 「田楽喰い」という演目があります。
豆腐などに味噌を付けて串焼きにしたものを田楽といいますが、皆で酒を飲もうと大勢集まった酒好きの男達、リーダー格の男が肴に大量の田楽を用意した。

 田楽をそのまま食べるのもおもしろくないということで男は趣向を凝らす。
「田楽ちゅうもんは、味噌を付ける、とか何とか言うてな、あんまり験がええもんやないさかい、ひとつ運がつくように『ん廻し』をやろう」

「ん」の入った言葉を言ったら、一文字ごとに田楽を一本取って食べられる、というもの。
「れんこん」や「にんじん」だったら二本取れる。

皆、「ん」がたくさん入ることばを考えるが、思いつかない者は「きゅうりん」とか「なすびん」とか無理やり「ん」を足すが、当然却下。
食べ物だけでなく何でもいい、と言うとさまざま出てくる。

「てんてん天満の天神さん」と六本もらおか。

「本山坊(ぼん)さん看板がん」で七本もらおか。
それ何のこっちゃ?
「本山の坊さんが看板にがんと頭をぶつよったんやな」

んの文字数をかせぐため、徐々に長文になってエスカレートしていく、
という筋書きです。

 もうひとつ、「二人癖」という演目。
「呑める(もちろんこの場合は酒)」が口癖の男と「つまらん」が口癖の辰の二人が、お互いその口癖を言ったら一円の罰金を取ろう、というもの。
相手になんとか口癖を言わせようと考える。

「辰っつぁん、田舎の親類から大根を百本もろた、とても食いきれへんさかい漬けもんに漬けよぉと思う。家じゅ~探したら二斗樽が一つだけ出て来た。この二斗樽一つに百本の大根、詰まろぉかな?」
「入りきらん」
「無理に押し込んだら?」
「底が抜ける」
と辰は簡単には引っかからない。

「出直せ、出直せ。お前の相手してられへんねん今日は……。かかあ、おい、早いこと羽織出してぇな!」
「辰っつぁん、羽織り着て、どこ行くねや?」
「いや、兄貴とこ家増築してたやろ、それが「『出来上がった、新築祝いや』いぅて、呼ばれてんねやがな」
「兄貴とこ新築祝い! 一杯呑めるな」
と男は見事にひっかかり、1円取られてしまう。

 くやしくて仕返しがしたい男は物知りの甚平はんに相談に行く。
辰が将棋好きなことを聞いた甚平はんは男に絶対に詰めないインチキの詰め将棋を教える。
 詰め将棋とは、王将の詰め手を研究する将棋。与えられた譜面に基づき、一定の持ち駒を使うなどして、連続して王手をかけて詰めるもの。

 男は教えてもらった通り、自宅の縁台で将棋盤をにらみ悩んでいるふりをする。
そこへ風呂入りに行こか、と誘いに来た辰が悩んでいる男を見て「ちょっとそれ、わしにやらせてみい」と考え始める。

男は「でや、詰まるかな、詰まるかな?」としつこく辰に聞く。
「うるさいなぁこいつ、もぉ。こぉこっちから行っても……、おんなじことか……、こら間違ごぉたかな」

「でや、詰まるかな?」
思わず辰は「こら、詰まらん。」とついにひかっかってしまう。

「あッ、ほなお前、あれを言わすために、こんなことやってたんか? えらい男やなぁ、こんなわけの分からん詰め将棋考えさしやがって。やぁよぉでけたぁった。感心したさかいな、倍の二円やるわ。」

「ありがたい、一杯呑めるわ。」と思わず男が言う。
「はい、一円、これであいこや」と辰。
というオチ。

「つまらない」の語源は「つまる」で、詰め将棋の場合の「詰む」とは違うのですが、そこは落語の中でも、甚平はんが
「だたいたい将棋では、『詰まる』とか『詰まらん』とかは言わんもんやが、そこは口癖じゃ、こっちが『詰まるかな?』と持っていったら『詰まらん』と、たぶん言ぅと思う」というくだりがある。

漫才やコントと違い、一人の噺だけで演ずる落語、なかなかおもしろいのです。

身近なところでも聴ける落語

ばってんT村でした。

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