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大阪で見た世界、万博 ― 2025/10/16
オリーブ通信8月号で大阪万博の記事を投稿しましたが、その後訪問を重ね延べ22回行きました。外国の異文化への好奇心から、万博には何度訪れても飽きることがありませんでした。
特に印象深かったものを紹介したいと思います。まず、日本にゆかりのある国から。
イタリアパビリオンにはバチカンやナポリの博物館から持ってきた本物の絵画や彫刻が展示されていました。
その展示エリアの入口すぐに東洋系男性の小さな肖像画が飾ってあったのですが、日本語の説明文がないので「この人誰?」となりました。
肖像画そばのプレートに、ITO MANCIOと書かれていたので、天正遣欧少年使節の一人、伊東マンショ(クリスチャンネーム)ということがわかりました。

伊東マンショの肖像画
1582年(天正10年)、九州のキリシタン大名の名代として、伊東マンショら4人の少年を中心とした天正遣欧少年使節は長崎を出航したのち、中国、インド、ポルトガル、スペインを経てイタリアへ。
各地で歓迎を受け、1590年に4人全員が帰国したという歴史があります。
この天正遣欧少年使節、滋賀も関係していたかもしれないのです。
当時、イエズス会は日本人司祭・修道士の育成のための学校「セミナリヨ(苗床という意味)」をいくつか建設しました。
キリシタンの多い長崎、大分以外に、キリスト教を保護していた織田信長のお膝元の安土にも許可をもらい建てたのです。跡地は今も安土城跡の近くに残っています。
実は天正遣欧少年使節の一人は優秀だったこの安土のセミナリヨから出るはずだったのですが、長崎からの船の出航に間に合わずかなわなかった、というエピソードがあるのです。
2つ目はマルタ共和国のパビリオンです。
マルタ共和国は地中海に浮かぶ小さな島国で面積は琵琶湖の半分ほど。地中海の宝石と呼ばれています。
他のヨーロッパ諸国と比べ、あまり聞き馴染みのない国かもしれませんね。

地中海の島国、マルタ共和国
実はこのマルタも日本とゆかりのある国なのです。
日本との関係は深く、江戸末期、遣欧使節団(福沢諭吉も乗船)が当時イギリス領だったマルタに寄港しそこで大歓待を受けました。
そのお礼として武士の甲冑をプレゼントしたのですが、パビリオンにはその甲冑が160年ぶりに帰国し展示されていたのです。
さすがに傷みがひどく、展示前1年半かけて大修復が京都美術品修復所で行われたそうです。

展示されていた甲冑
また、第一次世界大戦中、日本海軍は日英同盟に基づき参戦。英国領のマルタを母港としていました。
最近だとクロマグロの日本への輸出量一位の国。マルタ語の他、英語も公用語なので、語学留学先としても人気が高い国なのです。
昔、仕事の出張でマルタに滞在していた時、街中にやたらと日本人や中華系の若者が多いな、と思っていたのですが後から知ると留学生だったのですね。
3つめはトルコ。
トルコが親日国であることは知られているところです。
これは1890年のエルトゥールル号遭難事件がきっかけとなっています。
トルコパビリオン内には小さな説明プレートがありましたが、目立たず目にした訪問者は少なかったと思います。

手にしているのはトルコアイス、背景がトルコパビリオン
1890年にトルコの特使団を乗せた軍艦「エルトゥールル号」が、和歌山県串本町沖で台風により沈没しました。
多くの死者を出しましたが、日本人の必死の救援活動により69名の乗組員が救助されてトルコに送り届けられました。
トルコ国民はこのときの日本の対応に感謝し友好関係が築かれていったのです。
さらに1904年の日露戦争でトルコの脅威ともなっていたロシアに日本が勝ったことが親日感情をさらに高めることになりました。
4つめはポルトガル。
ご存じのように鉄砲伝来を始め、16世紀からポルトガルと日本とはキリスト教布教や貿易で関係の深い国です。
パビリオン内では日本語となったポルトガル語が映像で紹介されていました。
たくさんあるものです。
パン、カステラ、天ぷら、たばこ、ビスケット、コップ、ボタン、カッパ、ブランコなど。

ポルトガルパビリオン
ポルトガル語の「obrigado」(ありがとう)は日本語の「ありがとう」に発音が似ていて真っ先に覚えるポルトガル語ではないでしょうか。
(というか、私これしか覚えていないですが・・・)
サウジアラビアパビリオンでは日本の習字とよく似た、アラビア書道で書かれたアラビア文字が展示されていました。
毛筆ではなく、葦や竹でできた筆なのでどちらかというとペン習字ですね。
いろんな太さのペンがそばにありました。実際に書いているところを見てみたかったです。

さまざまなサイズのペン、マジックまであった
次に万博で初めて目にしたり聴いた楽器を。
スロバキアのFujara(フヤラ)という長さ2m近い縦笛。元々、羊飼いの笛だったとのこと。尺八っぽい音に聴こえました。

フラヤ、初めて見た、聴いた
スイスのアルプホルン。現物を生で見たり、聴いたりするのは初めてでした。
これも全長が長い楽器で持ち運び時には三分割して、演奏前に組み立てるのです。

ベトナムのクロンプットという、寝かせて並んだ竹筒の前で手をたたいて空気を送り音を出す楽器、もうひとつ、トルンという、竹筒をハシゴのように縦に並べた竹琴。
手をたたいて送り出した空気で音を出すなど驚きです。

左端のハジゴ状がトルン、中央の女性の前にあるのがクロンプット
現地へ行かないと観られない祭事を観ることができるも万博の魅力のひとつです。
その一つ、ベルギーの「オメガングパレード」と言われるものがおもしろかった。
「オメガングパレード」初耳でした。調べてみると
オメガングとは、ベルギーのブリュッセルで毎年夏に開催される伝統的な時代祭。
古いフラマン語で「輪になって歩く」という意味で、楽隊や宮廷貴族、騎士、ギルド職人などに扮して中世の行列を再現します。
旗手たちが旗を掲げながら登場し、騎士の行進や、竹馬戦、旗振り隊によるパフォーマンスなど、多彩な演目が披露されます。
最後にバンシュの「ジル」(道化師)が登場し、祭りを盛り上げます。
とありました。
パビリオン前で、そのパレードのミニ版が披露されました。
長い竹馬に乗って戦ったり、大旗を振ったり投げ上げたりのパフォーマンスは見応えがありました。

これから竹馬戦

アクロバティックな旗投げ
日本開催の万博ですから、もちろん日本文化の発信もたくさんされていました。
その中で興味深かったのは「目隠し着付け」でした。

目隠しして着付け中
これはもともと、戦国時代の武士の妻が非常時に暗闇でも着付けることができるようにできた技、と説明がありました。
10分とかからず見事に装われていて感心しました。
音楽と舞踊(ダンス)はやはり万国共通のエンタメです。可能な限り各国の音楽や舞踊イベントを見て回りました。
理屈抜きで楽しく、まさしく異国気分に浸れる時間と空間なのです。
タイ、マレーシア、カンボジア、ベトナム、フィリピン、インド、モンゴル、パキスタン、
ハンガリー、フランス、スペイン、スイス、チェコ、スロバキア、コンゴ、モザンビーク、ルワンダ、
サウジアラビア、UAE、アメリカ、ドイツ
などを観て聴いてきました。

観客もノリノリのマレーシアの踊り

インドのダンサーの皆さん、本番前にちょっとオジャマ


陽気でフレンドリーだったモザンビークのシンガー兼ダンサー
10/13で万博は閉幕しましたが、見逃したものも多々ありもっと早くから行き始めればよかったなと、名残惜しい気持ちでいっぱいです。
ばってんT村でした。
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