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誤解と難読文字 ― 2023/06/05
前回のブログで、テスト問題に紛らわしい表現が時々あるんじゃないのかな、というような話をしました。
これはとある読解N2の問題集にあった問題です。コピーして紹介します。
下記です。
これはさくら市の広報に載ったお知らせです。これを見て、後の質問に答えなさい。
健康診断を受けましょう
さくら市では1年に1回無料健康診断を実施しています。
会社や学校で健康診断を受ける機会のない方は、ぜひ受診してください。
1 対象者 40歳以上の市民
2 場所 さくら市保健センター
3 日時 9月1日(月)~5日(金)
受付 午前9:00~11:00 午後 1:30~3:30
4 内容 内科検診、血液検査、レントゲン
65歳以上の方は健康相談も受けられます。
5 申し込み方法 市役所市民課窓口に申し込み用紙があります。
また、電話、インターネットでのお申し込みも可能です。
その際、ご希望の日時は第3希望まで伺います。
受診票をお送りしますので、当日保険証と一緒にお持ちください。
6 申し込み受付 7月10日~16日
問 上のお知らせの内容と合っていたら〇、違っていたらXを書きなさい。
1( )40歳以上でさくら市に通勤していれば受診できる。
2( )希望の曜日や時間帯は申し込むときに伝える。
3( )申し込み方法は二つの中から選ぶことができる。
4( )受診票は検診当日にもらえる。
5( )第一希望の日に受診できるとは限らない。
6( )当日は受診票と保険証を持って市役所の市民課に行く。
7( )このお知らせに料金は書かれていない。
以上ですが、最後の7 このお知らせに料金は書かれていない について。
私は迷ったあげく〇としました。でもあとで付属の回答を見ると×だった。
無料健康診断とあるので、ここに料金を書いている、ということになるのでしょう。
でもな・・・と思ったのでした。
もう一例として、これは全く日本語と関係ない分野の練習問題の中にあったものです。
そのままコピーできないのでパターンだけで紹介します。
このような内容です。
△△に関する次の記述のうち、誤っているものを一つ選びなさい。
1.・・・
2.・・・
3.・・・
4.△△法にはA,B,C,Dの4種類をあげている
5,・・・
選択肢の4.についてですが、実は△△法にはA,B,C,D,Eの5種類があるのです。
選択肢の文中にあげている4種類はすべて含まれていますが、Eが抜けているので記述は誤り、となるのです。
でも書かれている内容は事実だけど、と私は釈然としませんでした。
これら2つの例から、問題文は出題者の意図も読めということか。
でも・・・正誤問題というのは、誤解を招かないような表現にしてほしいな、と同時に感じました。
次にちょっと話題を変えて、まず現代人のほとんどが読めないだろうと思われる日本語について紹介したいと思います。
これです。
ゟ
「より」と読みます。ひらがなの「よ」と「り」の2文字を合わせてできた、合字(ごうじ)と言われるものです。
草津駅ゟ徒歩10分、というような使い方。
ちなみにパソコンでも「より」と入力すると変換候補として出てきます。
平安時代にはすでに合字はあったらしく、明治時代にひらがな一音に対して一字にするよう法令が出されてから使われなくなったということです。
現在では相撲や歌舞伎で見られるのぼりなどでは使われることがあるそうです。
その他の合字
ヿ(こと) コとトの合字、「事」を表します。
〼(ます) 「益」を表す。 〼〼のご発展をお祈りいたします、という時などに。
これなんか、絵文字っぽい感じがしますね。
これらもパソコンの変換で出てきます。いや~知らなかったな。
ばってんT村でした。
日本語はなぜ美しいのか ― 2023/06/28
きっかけは一連の「トリセツ」シリーズの本でした。これらが非常に面白かったので片っ端から読んでみたのです。
著者はAI(人工知能)の開発に長年携わり、言語と脳の研究もされている方です。
その中に「日本語はなぜ美しいのか」という著作があったのでこれも読んでみました。
印象的な部分を要約して少し紹介します。
日本語には母音を主体に音声認識をする特異性があるということです。
この特異性を持つのは日本語以外にポリネシア語族(ハワイ語なども含む)のみらしい。
欧米、アジア諸国などほとんどの外国語は子音主体の音声認識をしているのです。
さらに書かれたそのままを一部列記すると
日本人はその昔、漢字を受け入れた際に、その音を日本人好みに変換している。
中でも顕著だったのは、口唇破裂音(P,B)を息の音(H)に変えたことと、歯擦の強い音(ツァ、ツィ、ツォ)を弱い音(チ、ツ)に変えたこと。
すべての子音を母音とともに発音し、母音の響きでニュアンスを伝え合う日本人は、直後の母音が微調整しにくい破裂音や強い歯擦音が苦手なのである。
脳科学的に、日本人は母音を言語脳(左脳)で聴いているのに対し、欧米やアジア各国は母音を右脳で「音響効果音」としてぼんやりと聴いている。・・・
と書かれてあります。
外国人にとって母音は付け足しみたいなものなんですね、読んでなるほどと思いました。
日本人が子音主体の外国語が聴き取れない、というのは当然なのだ。
確かに英語でも字面ではCry、Sky、Rhythm などまったく母音が表記されない単語はいくつもあります。
Rhythmってこれでリズムと読むなんて習わなければわからない。
また、アラビア語は母音が3つしかないと言うし、そもそもアラビア語は子音だけで書かれていると、何かの本で読んだことがあります(私自身、アラビア語は知らんけど)
おもしろいエピソードとして逆読みついても書かれていました。
しんぶんし、のように上から読んでも下から読んでも同じ言葉を回文と言いますが、こんなお遊びができるのも日本語は逆読みができるからです。
カナ1文字が一音韻(表記と音韻が常に一致)しているからできること。外国語だと逆読みはまずできません。
例えばクリスマス、Christmas、これを逆にするとSamtsirhcとなりとうてい読めません。
以前から思っていたのですが、日本語は日本語をまったくわからない外国人にどういうふうに聞こえているのかな、と。
その昔、タモリが、一人で4か国マージャンというコントをやっていました(ある年代以上の人はご存じかと)
確か英語、中国語、韓国語、ベトナム語。ドイツ語もあったかもしれない。
話している内容はデタラメで、知らない外国語を聴いた印象だけでモノマネしていたのですが、各国語のアクセントやリズムなどの特徴を捉えていてそっくりでした(今でもYouTubeで観られます)
この本に一例として書いてあったのは、成田空港に到着したフランス人が空港の日本語のアナウンスを聞いて、機関銃の連射のようだ、と感じたそうです。
「タタタ、タタタ」というリズムで日本人は規則正しい太鼓の連打のようにしゃべっていて、そう聞こえているのではないか。
と書かれていました。
カナ1文字=一音韻で一拍づつ話す日本語の特有さなのでしょうね。
これは「人間のトリセツ」という本の中に書かれてあった調査事例です。
「この二つの図形はある国でブーバとキキと呼ばれています。どちらがブーバでどちらがキキと思いますか?」という質問を被験者にした。実際にそんな国はなく架空の質問です。
その結果、被験者の母語、年齢を問わず、90%以上が雲形図形をブーバ、星形図形をキキ、と答えたという。
母語に関係なく、ブーバにもくもく感を、キキにとげとげ感を感じている、脳は言語の音声面に共通のイメージを抱いているのであろう・・・
と。
確かに私もそう感じました。そこで試しに5人のベトナム人生徒さんに聞いてみたところ、5人中4人が雲形図形をブーバ、星形図形をキキと思う、と答えたのです。おお、ほぼ統計どおりだ。
音声で感じる語感というのは万国共通なのでしょうか?
断片的な紹介でしたが、とても興味深い一連の著書です。
以上、ばってんT村でした。
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