★オリーブホームページはこちらからどうぞ!

日本語はなぜ美しいのか2023/06/28

 きっかけは一連の「トリセツ」シリーズの本でした。これらが非常に面白かったので片っ端から読んでみたのです。
 著者はAI(人工知能)の開発に長年携わり、言語と脳の研究もされている方です。




 その中に「日本語はなぜ美しいのか」という著作があったのでこれも読んでみました。
印象的な部分を要約して少し紹介します。


 日本語には母音を主体に音声認識をする特異性があるということです。
この特異性を持つのは日本語以外にポリネシア語族(ハワイ語なども含む)のみらしい。
欧米、アジア諸国などほとんどの外国語は子音主体の音声認識をしているのです。

さらに書かれたそのままを一部列記すると

 日本人はその昔、漢字を受け入れた際に、その音を日本人好みに変換している。
中でも顕著だったのは、口唇破裂音(P,B)を息の音(H)に変えたことと、歯擦の強い音(ツァ、ツィ、ツォ)を弱い音(チ、ツ)に変えたこと。

 すべての子音を母音とともに発音し、母音の響きでニュアンスを伝え合う日本人は、直後の母音が微調整しにくい破裂音や強い歯擦音が苦手なのである。

 脳科学的に、日本人は母音を言語脳(左脳)で聴いているのに対し、欧米やアジア各国は母音を右脳で「音響効果音」としてぼんやりと聴いている。・・・
と書かれてあります。

 外国人にとって母音は付け足しみたいなものなんですね、読んでなるほどと思いました。
日本人が子音主体の外国語が聴き取れない、というのは当然なのだ。

 確かに英語でも字面ではCry、Sky、Rhythm などまったく母音が表記されない単語はいくつもあります。
Rhythmってこれでリズムと読むなんて習わなければわからない。

  また、アラビア語は母音が3つしかないと言うし、そもそもアラビア語は子音だけで書かれていると、何かの本で読んだことがあります(私自身、アラビア語は知らんけど)

 おもしろいエピソードとして逆読みついても書かれていました。
しんぶんし、のように上から読んでも下から読んでも同じ言葉を回文と言いますが、こんなお遊びができるのも日本語は逆読みができるからです。

 カナ1文字が一音韻(表記と音韻が常に一致)しているからできること。外国語だと逆読みはまずできません。
例えばクリスマス、Christmas、これを逆にするとSamtsirhcとなりとうてい読めません。

  以前から思っていたのですが、日本語は日本語をまったくわからない外国人にどういうふうに聞こえているのかな、と。

  その昔、タモリが、一人で4か国マージャンというコントをやっていました(ある年代以上の人はご存じかと)
確か英語、中国語、韓国語、ベトナム語。ドイツ語もあったかもしれない。

 話している内容はデタラメで、知らない外国語を聴いた印象だけでモノマネしていたのですが、各国語のアクセントやリズムなどの特徴を捉えていてそっくりでした(今でもYouTubeで観られます)

 この本に一例として書いてあったのは、成田空港に到着したフランス人が空港の日本語のアナウンスを聞いて、機関銃の連射のようだ、と感じたそうです。
 「タタタ、タタタ」というリズムで日本人は規則正しい太鼓の連打のようにしゃべっていて、そう聞こえているのではないか。
と書かれていました。
カナ1文字=一音韻で一拍づつ話す日本語の特有さなのでしょうね。

 これは「人間のトリセツ」という本の中に書かれてあった調査事例です。
「この二つの図形はある国でブーバとキキと呼ばれています。どちらがブーバでどちらがキキと思いますか?」という質問を被験者にした。実際にそんな国はなく架空の質問です。


 その結果、被験者の母語、年齢を問わず、90%以上が雲形図形をブーバ、星形図形をキキ、と答えたという。
母語に関係なく、ブーバにもくもく感を、キキにとげとげ感を感じている、脳は言語の音声面に共通のイメージを抱いているのであろう・・・
と。

 確かに私もそう感じました。そこで試しに5人のベトナム人生徒さんに聞いてみたところ、5人中4人が雲形図形をブーバ、星形図形をキキと思う、と答えたのです。おお、ほぼ統計どおりだ。
音声で感じる語感というのは万国共通なのでしょうか?

断片的な紹介でしたが、とても興味深い一連の著書です。
以上、ばってんT村でした。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://olive-shiga.asablo.jp/blog/2023/06/28/9597831/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。

★コメント・トラックバックは内容確認後公開しております
★オリーブホームページはこちらからどうぞ!