沖縄の方言 ― 2019/03/03
前回の沖縄旅行の続きで、沖縄方言について聞きかじりや調べたこと、気づいたことを書いてみます。
オリーブには沖縄出身の先生もいらっしゃいますが、ほとんど予備知識のない県外者の私の目からの所感ですのであしからず。
地名や人名に沖縄独特のものがあることはご存知かと思います。特に漢字の読みについては、日本語読みでもなければ中国語読みでもない固有のものがあります。
一例ですと、「美ら」を「ちゅら」と読むのはかなり知られるようになりました。ただ、「清ら」の方が昔から使われていて正しいという説もあるそうです。
「ちゅら」は美しいとか清らかという意味の沖縄方言です。漢字は後から付けた当て字ではないかと私は勝手に想像しています。
人名についても難解な読みがあります。
今回の旅行で非常に印象に残った名前は「喜屋武」さんです。これはバスガイドさんが自己紹介の時、「何と読むかわかりますか?」と車内で聞かれた名前です。
「きやぶ」とは読みません。それではクイズになりませんからね。
「武」を沖縄では「ん」と読みます。従って「きやん」となるのですが、「や」がさらに拗音になり「きゃん」と言います。沖縄ではよくある名字で珍しくはないとのことです。
犬が尻尾を踏まれて「キャン」と鳴くあれですよ、憶えやすいでしょう?と件の喜屋武さんはユーモア混じりで自己紹介されていました。
それと「城」が付く人名、地名が多いことに気づきます。
これは琉球時代、お城が各地に建てられた名残りで「城」が付く地名が多く、地名をルーツに持つ名前も多かったためと言われています。
お城のことは沖縄方言で「ぐすく」と言い、これをそのまま「城」の読みに当てています。
市町村名だと、豊見城(とみぐすく)、金城(かなぐすく)、新城(あらぐすく)、中城(なかぐすく)、玉城(たまぐすく)等があります。
ところが人名になると、これは普通に「しろ」「じょう」あるいは「き」と言うんです。
金城(かねしろ、きんじょう)、新城(あらしろ、しんじょう)のように。
おもしろいですね。
さて那覇滞在時、どこに行こうか観光地をネット検索していたら、おもしろい名前を見つけたので「犬も歩けば棒に当たる」かもということで行ってみました。
「波上宮(なみのうえぐう)」という神社があるのです。
那覇市中心部から東海岸方向に歩いていくと「波の上通り」という通りがあって、その突き当りにありました。正面から見ると、朱色の南国っぽい色彩の神社です。
正面からはわかりませんが、この神社を出て裏に回ると、その名の通りほとんど波の上のような海沿いの岸壁の上に建っているのです。
境内では中国語が飛び交っていました。春節休暇で中華系の観光客が多かったようです。
手水舎には使い方が中国語、英語でも併記してあり、このことからも外国の観光客にもすでに知られていることがわかります。
さてその帰り、ただ来た道をそのまま戻るのもおもしろくないので、この「波の上通り」に交差している一本の脇道に入ってみました。
少し歩くと、コーヒーのいい香りが漂ってきます。近くに喫茶店でもあるのかと見てみると、そこはコーヒーの焙煎専門店でした。
「家庭用コーヒー豆挽き売りします」という看板もあったので、もしかしたら試飲くらいさせてくれるかも、と思い中へ入ってみました。
中年のおじさんが一人いて、私が「すみません、ここでコーヒー飲めますか?」と聞くと「飲めますよ、ただしこれでね、1杯100円です。」といって奥を指さします。
そこにはデロンギ(イタリアの家電メーカー。コーヒーマシンやエスプレッソメーカーなどキッチン家電で有名)の全自動コーヒーマシンと紙コップが置いてありました。
「あなたみたいな人がよく来られるんですよ。『いい香りを外までさせておいて飲めないとはけしからん』と言う人もいてね。いちいち淹れられないのでこのマシンを買ったんですよ」と。置いてあったコーヒーマシン、確か10万円以上するものです。
コーヒー好きの私ですが、焙煎されるところを見るのは初めてだったので、コーヒーの話や沖縄の話を聞きながらつい長居してしまいました。
私が滋賀県から来た、と言ったのがきっかけで「実は沖縄と滋賀とは縁があるんですよ」という話をされ、前回のブログで書いたような琉球王朝と井伊家の関係を聞いたのでした。
夕刻となり、さて晩御飯はどこで食べようか?
民謡ライブをやっている居酒屋はグループで行って一度経験したので、その日の晩御飯は「孤独のグルメ」といくか…ということで、静かでローカルな沖縄料理屋をネットで探して行きました。
スマホのグーグルマップを道案内に波の上通りから30分ほど歩いて行ったお店は古民家を改造した畳敷きにテーブルのお店でした。
空いたテーブルがなかったため、「ここで相席お願いします」と店員さんに言われたところには欧米系の中年カップルが先客で食事をしていました。
聞くともなしに耳にはいる二人の会話から言語はドイツ語のようです(と言っても内容はわかりません)
女性の方は箸の使い方もうまく、途中メニューを手に店員さんに「すみません、追加で注文したいのですが」と日本語で話しかけていました。
おや、旅行者じゃなくて沖縄居住者なのかな?
好奇心が出てきた私は自分の料理が運ばれてきた時、彼らの前にある調味料を取るため「ちょっと失礼します」と言ってきっかけを作り、続けて女性の方に「どちらから来られたのですか?」と話しかけてみました。
女性は「むずかしい質問ですね。少し事情が複雑なんです」と日本語で言ってこう続けました。
「私はドイツ人です。20年くらい札幌に住んで仕事をしていました。ドイツ語も教えていました。その後、ニュージーランドに移住して5年ほどいました。
でも日本の文化が好きでまた戻ってきたのです。でも北海道は寒かったので今度は暖かいところがいいと思い沖縄に来ました。今住むところを探しているところです。子供たちはニュージーランドにそのまま住んで働いています」
ということでした。
さすがに長年日本に住まれていただけに、ほぼ完ぺきな日本語でした。
欧米人にはこういう人けっこういるのですよね。自分の気に入った所で暮らすために移住する、それが外国であっても。
会話の途中で運ばれてきた彼女が追加注文したものを見ると、もずくの天ぷらでした。うーん、渋い選択。
ちなみに私は島らっきょう(沖縄独自の品種)の天ぷらを注文してみましたが、サクサクで美味でした。
料理の話が出たところで、また言葉の話題に戻りますが、沖縄料理やお菓子にも独特の言語のものがあります。
おなじみの「チャンプルー」ですが、沖縄方言で「ごちゃまぜ」という意味です。長崎発祥の「ちゃんぽん」も混ぜるという意味があり発音も似ているので語源は同じなのかな?
豚肉を多用する沖縄料理ですが、「ラフテー」は豚の角煮(皮付きの三枚肉)、「ソーキ」は豚の骨付きアバラ肉を言います。
「ミミガー」は豚の耳を千切りにしたもの、漢字だと「耳皮」と書きます。
これはお昼に食べた料理、典型的な沖縄料理のセットです。
上の左端からもずく酢、ラフテー、ゴーヤチャンプルー
下の左端から沖縄そば、ミミガー、ごま豆腐(たぶん)、昆布(かな?)
次にお菓子です。「サーターアンダギー」という球状の揚げドーナツがあるのですが、サーター(砂糖)、アンダ(油)、アギー(揚げ)が結合してこんな発音になっています。
焼きのことはヤーチーと言いますし、こうやって見ると、沖縄方言って長音と拗音が多いと思います。
さとうきび(うーじ) 島唄の歌詞にある「うーじの森であなたと出会い…」のうーじ
兄弟(ちょーでー)
はじめまして(めんそーれ)
ありがとう(にふぇーでーびる)
いただきます(くゎっちーさびら)
などなど。
沖縄方言、調べてみるとおもしろそうです。
ばってんT村でした。
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