★オリーブホームページはこちらからどうぞ!

絵画の行方2019/10/12

前々回はアメリカ人女性のコレクターが収集した浮世絵の紹介をしました。

このように海外に美術品が出ていくことはよくあることで、展示会の浮世絵のように正式に購入されて他国へ渡るのならよいのですが、ヨーロッパでは盗難や戦時中の強奪、植民地からの持ち出しなどで他国へ移ったものがたくさんあります。

 

 知られたところでは、イギリスの大英博物館、フランスのルーブル美術館の所蔵品にも略奪品は多数含まれています。

 絵画などの美術品ではないですが、あのロゼッタストーン(紀元前2世紀ごろの古代エジプトのもので神聖文字ヒエログリフ、民用文字、ギリシア文字の3種類が3段に分けて彫られた石柱)はナポレオンがエジプト遠征の時にエジプトのロゼッタで発見したものです。

 

 

 その後、フランス軍がイギリスとの戦争で負けたため、ロゼッタストーンはイギリスの所有物となり大英博物館に展示されることになったのです。

 近年になって、エジプトが返還を求めていますが、イギリスは返す気はなさそうです。

 

 おかげで我々も古代の発掘品や美術品を観ることができるのですね。特に大英博物館は入場無料なんです。

 

ずいぶん昔、イギリスに出張した時に休日に電車で2時間かけてロンドンまで出かけて大英博物館まで行ったことがあります。この時に「入場料が要らないんだ」とわかって感心しました。 

まっさきにこのロゼッタストーンを見ましたが、これが2,000年以上も前に刻まれたものとは思えないほど克明に文字が見え感慨深かかったことを憶えています。

 

 さて、美術品の返還にまつわるおもしろい映画があるので紹介しましょう。

「黄金のアデーレ 名画の帰還」という日本語タイトルですが、これは実話を基にした映画です。

 

 

 対象はクリムトというオーストリアの画家が描いた「アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像」という、3年かけて1907年に完成した絵画なので比較的新しいものです。

 

 あらすじは…

 オーストリアの裕福な実業家ブロッホ=バウアーは自分の妻アデーレをモデルにクリムトに絵を描かせた。これが上記の「アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像」という絵です。子供のいないこの夫婦の死後、絵画はオーストリアの美術館が長年所有していた。

 

 このブロッホ=バウアー夫妻の姪であるマリアは叔母にあたるアデーレをモデルにしたこの絵画の所有権を主張し、オーストリア政府に返還訴訟を起こすことにした。

 …というもの。


 実際のストーリーはもうちょっと複雑なんですが、実話なのでけっこうおもしろいのです。

 その後、この絵はアメリカの化粧品会社エスティ・ローダーが購入し現在はニューヨークのギャラリーに飾ってあるそうです。

 

 もう一つは「ミケランジェロの暗号」

 

 

2次大戦下のオーストリア。ユダヤ人の画商一族カウフマン家が所有するミケランジェロの絵をナチスに奪われてしまう。ところがその絵ががん作であることが判明。

ほんものの絵の隠し場所を知る父はその後死んでしまう。息子のビクトルは本物の絵を交渉材料にナチスとの危険な取引きに出ようとする。

 

というストーリー。これももっと複雑なストーリー展開でドタバタ感と最後にどんでん返しがありおもしろい映画です。

この映画はフィクションですが、実際ナチスが戦時中、資産価値のある絵画を強制的に没収していたことはよく知られています。

 

このように写真や映像でしか見たことのない美術品や発掘物の本物を見て歴史や背景を知るのはマニアやファンでなくても楽しいものです。

 

 話は変わりますが、今年これからゴッホ展が東京で開催され、それが来年の1月に神戸に来ます。興味のある方、行かれてはいかがでしょうか?

 

 そう、ゴッホと言えば「ひまわり」が有名ですがそれで思い出しました。以前、イタリア映画を紹介した時、これを忘れていました、「ひまわり」

 

 

 第二次戦争中、ロシア戦線に出征した新婚の夫が行方不明になる。戦後、彼を探しにジョバンナはソ連に向かうが、探し当てた夫は命を救ってくれたロシア人女性と結婚していた。

…という恋愛もの。

ラッタッタのソフィア・ローレン主演(シニア以上の方ならCMで見たことあるでしょう)

 

もう半世紀前の映画なんですね。ひまわり畑の映像と音楽が印象的です。

ばってんT村でした。


★コメント・トラックバックは内容確認後公開しております
★オリーブホームページはこちらからどうぞ!