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お茶屋巡り2019/11/09

 10月の台風で水没してしまった北陸新幹線ですが、新幹線で東京からも行きやすくなり外国人観光客にも知られるようになった金沢。京都からだと特急電車に乗れば2時間ほどで行けるので関西からだとさらにアクセスしやすい観光地です。

 

 少し前のことになりますが、今年のゴールデンウィークの最終日の1日だけ観光する機会ができたので行ってきました。

 見どころが多い金沢、限られた時間内でどこに行くか悩みました。いろいろ考えた末、当時の面影を残す茶屋街と武家屋敷跡に絞って巡ることにしました。

 

 まずお茶屋とは、一言で言うとお座敷遊びをやる場所のことです。パンフレットから説明文を要約すると

「お茶屋は、訪れる客たちに遊ぶ場所を提供する、いわば貸し座敷の役割をする。客の求めに応じて仕出し屋から料理をとり酒を供し、芸妓を呼ぶなど遊宴を支えるために様々な配慮をする」

とあります。

 

 起源は江戸時代の京都の東山周辺からと言われています。元々は神社へ参詣する人や街道を旅する人々にお茶や団子をふるまった店のことで、そこで働いていた女性が歌を聞かせ舞いを見せるようになったのが始まりです。

 

京都の東山や祇園は全国的、いや今や世界的にも知られるようになりました。

「一見さんお断り」のしきたりのためお座敷で芸妓さん、舞妓さんとかかわることは難しいですが、最近では観光客相手の体験ツアーもあって簡単にこの日本文化に触れることができます。

 

さて、金沢市内には大きく分けて3カ所の茶屋街があります。

ひがし茶屋街、にし茶屋街、主計町(かずえまち)茶屋街の3つですが、一番規模が大きく金沢を訪れる観光客のほとんどがまず立ち寄るのがひがし茶屋街です。

 

ひがし茶屋街

 

通りを散策するだけでも雰囲気を味わえるのですが、文政三年(1820年)に建てられほぼその当時のままの姿を残している「志摩」という重要文化財に指定されているお茶屋を見学されるとよいでしょう。



当時のままの姿で残っているのがすばらしいと思います。

 

 お座敷以外に、ここには食料を保存するための石室(いしむろ)や台所もそのまま残っています。


 石室への階段(中には入れません)


 帳場も当時のままで、これらを見るとまさに江戸時代にタイムスリップしたような感覚になります。 


  さらにおもしろいのは見上げて気づいたのですが、ウサギの形をした釘隠し(打たれた釘を隠すための装飾具)が要所に使ってあるのです。遊び心のあるデザインだなと思って見ました。


 スタッフの方にウサギの理由を聞くと、ウサギは子孫繁栄や幸福招来、魔除けなどの力があると言われていて使われたのではないかとのこと。

  

 また館内には茶室があって、和菓子付きで抹茶などが頂けます。庭も眺められて見学後に一服するのにいい感じです。

 

 

 私がここでのんびり休憩していると、後から若い外国人カップルが入ってきました。話しかけてみるとフランス人でして新婚旅行で日本には初めて来たとのこと。

金沢の後は高山に行くと言っていましたが、定番の東京や京都以外に地方都市も知られるようになってきましたね。

「ところで京都には行かないの?」と聞いたところ、「最後に行きます」と言われ、やはり定番も外さないようです。

 

さて、同じくこのひがし茶屋街にある「お茶屋美術館」も訪れることをお勧めします。江戸時代に建てられたお茶屋の中に化粧道具類や蒔絵を施した茶器、焼き物などが展示してあります。



おっ、と思ったのは水琴窟があったことです。実は初めて水琴窟の音色を生で聞きました。水琴窟とはこの写真の解説のとおりのものです。地中に埋めてあるので瓶は見えませんが水を落とすと涼しげな音がします。 

 

 

次に訪れた主計町(かずえまち)茶屋街は川沿いに立地していて落ち着いた雰囲気があります。レトロチックで泊まるならこの風情のある通りにある旅館なぞいいな、と思います。 

 

最後に行った、にし茶屋街は3つの茶屋街の中でいちばん芸妓さんが多いといわれているところで昼間は静かで観光客も少なかったです。夜は賑わうのでしょう。 

 

実は私、ずいぶん昔一度だけ京都、東山にあるお茶屋に行ったことがあります。と言っても、俗に言う会社の接待というやつで…

当時は若かったのか、お座敷遊びもこれの何がおもしろいのか、と思ったものです。分不相応だったということなのでしょうね。

 

さて茶屋街巡りの後は、武家屋敷跡に行ってみました。

昔ながらの土塀や石垣、建物が残る加賀藩士たちの武家屋敷跡の通りですが、民家として住民が普通に住んでいらっしゃるのですね、知りませんでした。

危うく、庭先に不法侵入するところでした。

 


 

ここもこれまた江戸時代にタイムスリップできる空間でした。

 

さて金沢に到着した直後にさかのぼりますが、金沢駅前には鼓を模した鼓門が鎮座して出迎えてくれます。

 

 

主要観光地は金沢駅からおおよそ23km以内にコンパクトに集中しているため、非常に巡りやすいのです。

専用観光バスが周遊していて500円の一日乗車券で乗り降り自由、さらに通常の路線バスもこれで乗れるのでこれまた便利。

 

もし足に自信があれば、ぶらぶら歩いて巡ることをお勧めします。疲れたらバスに乗ればいいですから。

 

私は金沢駅からひがし茶屋街まで道草を食いながら歩いて行きました。

道中、入らないと一生後悔する交流館(入って金沢のことを聞いていたら、ご主人は以前滋賀県の守山に住んでいたことがある、という話が聞けたり)や明治時代に建てられた和洋折衷の銀行を見つけたり(内部見学は無料)

 


 昔の銀行


 

 

やはり、最後はおいしいお鮨でも思い、適当にあるお店に入り、のどぐろと白エビを注文したらのどぐろには金箔が乗っていた。金沢と言えば金箔の工芸品でも有名ですが、お鮨にわざわざ載せなくても…高かった。この二貫だけ食べてお店を出ました。 


 旅館にでも最低一泊して他も観てみたいな、と思う金沢でした。京都ほど混雑していないのでゆっくり観光できる古都だと思います。

ばってんT村でした。


赤ちゃんも努力している2019/11/23

 自分が幼児期にどうやって母語(例えば日本語)を覚え、話せるようになったかを記憶している人はいないでしょう。

 日本に生まれて日本語環境にいたのだから自然と日本語を話せるようになった、と多くの人は思っているのではないでしょうか。

 

 そうではなく、赤ちゃんの時期に努力して勉強したからだ、ということを書いてあるのがこの著書です。

 

 

 著者はさまざまな文献や研究者の実験結果、あるいは自らの研究や観察結果を基に各項目を書かれていますが、へぇと思うようなことも書いてあります。

 


赤ちゃんは単語らしきものを発するのに1年、簡単な文が言えるようになるまでさらに1年、身近な人と意思疎通ができるようになるのにさらに1年と言われています。

つまり最低3年を要するわけですね。(個人差あり)

 

それも先生や教科書なしの独力でやらなければならないのです。

母親が単語などを教えているじゃないの、と言われるかもしれませんが、これも案外通じていない、と書いています。


赤ちゃんに単語を教えるのに母親がものを指さしてその名前を言って教える、という方法は一般的ですが、これは「指をさした先にあるものの名前を今から言う」という決め事がわかっていれば通用するのであって、そもそも赤ちゃんは指さしの意味がわからないのです。

 

それ以前に赤ちゃんはものに名前がある、ということがまずわかっていません。このようなエピソードが書いてあります。

ヘレン・ケラーは1歳半ごろの時に視覚と聴覚を同時に失いました。その後、サリバン先生の教育を受けるわけですが、手に水をかけられ、「water」というつづりを手のひらに書かれた時に初めてヘレン・ケラーはものに名前があることを知ったというのです。

 

 そして赤ちゃんは、連続した音としか聞こえない大人の発することばから単語の区切り、単語の種類を識別するという作業をしなければなりません。赤ちゃんにとってはこれがたいへんな作業らしいです。

 誰も、これは助詞、これは名詞とは説明してくれません。

 

ただ、これは我々おとなでもたいへんさがちょっと想像できます。

未知の外国語(例えばスワヒリ語でもタガログ語でもいいでしょう)、誰にも教わらずこれを相当聞いてもわかるようになるでしょうか?単語の区切りすらわからないはずです。

 

 一方、そうなのかと思うような検証結果も載っています。

15か月くらいになると赤ちゃんでも助詞を聞き取れるようになり、「誰か来た」というように助詞を省略しても意味が通じる、ということまで理解するそうです。

 

ここらへんの章がおもしろい。 


 母語以外の外国語の習得についても書かれてあり、幼児から英語教育を始めることには賛否両論あるが著者は必ずしも効果があるとは言えない、母語の発達が遅れる可能性もある、と言っています。

 

最近こんなことがありました。

コンビニの駐車場で休憩していたとき、近くにいた女子中学生らしき2人の会話が聞こえてきました。


どうも英語の授業が話題のようで、一人が「教科書にgirlって書いてあるけど、先生の発音ガールって聞こえへん。○○○って言ってた」

「外人やもんな。本当はああ言うんやろな」

…というような内容でした。

(ネイティブ発音なので○○○部分はカタカナ日本語で表現できず)

 

最近はネイティブの先生が中高で英語を教えているので、生の英語を聞くことができてそういう面では恵まれています。これで英語に興味を持つ学生も増えているのではないでしょうか。

また、市販の教材や、YouTubeでも映画を題材にした聞き取り勉強の動画があったりして生の英語に触れる機会は今や探せばたくさんあります。

 

学生や我々おとなが外国語を勉強するとしたら動機は好きだからか、必要に迫られてかのどちらかでしょうが、楽しくないと身に付かないと思います。

 

要するに母語も外国語どちらにしても、言語習得の道のりはとても険しい、ということなのですね。

 

相手は赤ちゃんではありませんが、外国人に日本語を教える我々にも教える方法などについてちょっとした参考になると思います。

興味ある方はご一読ください(私は図書館から借りて読みました)

ばってんT村でした。


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